KLMは始まりのABC、終りのXYZの中間に位置する途中経過という意味です。 でも、理系の管理人なのでK殻L殻M殻という意味もあります。
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≪ お子さま行進曲 子時代編その2 | | HOME | | 無題 ≫ |
BASARA編。
強いて言うなら導入編。
「琴里」
「あい、上司」
「上司っつーのはヤメロ」
「あい、上司」
ごちん
「おぁー!? じょーしをじょーしって呼んでなにがわるい!」
「俺の命令に従わんお前が悪い!!」
「おーぼーだ、おーぼー!」
「もう一回くらいたいか?」
琴里は舌をべーっと出して、一目散に逃げ出した。
足だけは、黒脛巾の中でも追随を許さない早さだ。
城勤めだというのに、未だ頭の中が子供な琴里に黒脛巾の長はため息をつき、子供の後ろ姿を見送った。
琴里は黒脛巾の一人である。
数えで十という幼さながらも、黒脛巾のお眼鏡にかない城勤に召し上げられた経歴を持つ。
腕というか、足は確かなのだがいかんせんガキだ。餓鬼。
おつむの方が仕事についてきていない。
忍務の時はしっかりと役割をこなす。大人と肩を並べても遜色がないほどに。
それが、日常ではこれだ。
子供らしさを如何なく発揮し、我儘を言いたい放題、好き勝手し放題。
それでも大人から好かれる天真爛漫さを振り回している。
気づけば厨房からお八つを貰っていたり、馬番と一緒に馬と戯れていたりする。
流石に城主や兵たちとは交わっていないだろうが、不安がぬぐえない。
子供だからといって、許されないこともあるのだ。
なんだかんだ言っても、黒脛巾の誰もが琴里を可愛がっている。
あれはあれで聡い子だからそう滅多な事をしないとはわかっているが、それでも心配だ。
「親の心子知らず、ったく、忍になって親の心を知るたぁな」
2010/09/15
「おにーさん敵だよね?」
言うが先か、琴里がクナイを真横に滑らしたのが先か。
あるいは、猿飛佐助が小刀を投げつけたのが先か。
「っぶね」
行きつく島もなく、二撃三撃が襲ってきた。
声の高さと背に感じた重さからいって、相手は女か子供だ。
不覚としか言いようがない。
偵察中に後ろをとられ、首を刎ねられかけるだなんて。
クナイを出して応戦するが、反撃の隙が、ない。
ち、と舌打ちをした瞬間だった。
身体に大きなものがぶつかって、腹部からぶつんと何かが刺さる衝撃があった。
一瞬のち、ぴいい、と大きな音がした。
すぐに応援を呼んだのだと気付いた。
2010/09/15
「いひゃい」
「我慢しろ、馬鹿」
琴里は自室の布団の上で、珍しくおとなしくしていた。
先の密偵事件で、一番に相手と対峙したのが琴里だった。
応戦し、善戦したものの、刺し傷多数の怪我を負った。
鎖帷子を着ていたから致命傷といえるものはないが、大怪我と呼べるものだった。
黒脛巾の長はため息をつきながら、琴里の看病に当たる。
「くそー、あとちょっとで勝てた!もうちょっとで獲れたのに!」
「あの猿飛佐助相手によくやったが、お前もうちっと後先考えろ」
「こんどきたら、琴里が頸獲る!長にはゆずらないかんねっ!!」
「お前…今度があったらお前のが殺されるっつーの」
「長はあんなちんちくりんより琴里のがよわいって!? 琴里より足おそいくせに!きづかなかったくせに!!」
かちんときたので、傷口を乱暴に縫う。
ぎにゃー、と泣き声がしたが、知らんぷりだ。
「さいしょだって、もうちょっとで頸刎ねれたのに!腹だって刺してやった!鎖帷子着てなかったよ!」
「しっかし、何も俺らが行くまで猿飛佐助にくっついて動きを封じるこたぁねぇだろ」
「だって、そうしないとあいつ逃げるよ!長たちおそいしー、みぎゃー!!!イタイイタイ痛い!!」
確かに、今回は琴里の功績が大きい。
最初に不法侵入者に気付いたのは琴里だし、相手に傷を負わせ他のものに知らせたのも琴里だ。
よくやった、と褒めるべきところなのだろうが、褒めたら褒めたで調子に乗るのは目に見えている。
「まぁ、お前にしてはよくやった方じゃねぇの?」
「琴里、がんばった!えらい?えらい!?」
「これでも食って、さっさと養生しろ。またこき使ってやる」
「ずんだ餅だぁー!!わーい、長ふとっぱら!すきっ!」
でも結局、甘やかしてしまう。
2010/09/15
ワンピース編
強いて言うなら、たぶん、本編。
の、第一話。
その日は快晴だった。
雲ひとつなく、雨粒のかけらもなく。
ただ、落下する者があっただけで。
モビー・ディック号は緩やかな風が吹く快晴の中、のんびりと航海を楽しんでいた。
全世界最強の海賊団を束ねる最強の男も、甲板で日光浴をしてしまうくらい、長閑な日だった。
雲ひとつない空から、雨でも雷でも雹でも、ましてや魚でもない者が落ちてくるまでは。
「おろぉぉぉぉ!?」
最初に気付いたのは誰だったか。
微かに聞こえた波音以外の音。
それが船内からではなく空から聞こえたことにより、空を見上げた物が幾人。
つられるように空を見上げる者がいて、騒ぎに反応した船内の者も出てきて今では甲板に出ていたほぼ全ての船員が空を見上げていた。
「なんだ、ありゃ」
「人か?」
「ガキだ」
ざわざわと騒ぎだす船員---息子たちはさておき、エドワードは空を見た。
老いた目で確認できたのは、大きな塊が落ちてきていることだけ。
息子たちのざわめきに耳を傾ければ、どうやらそれは子供であるらしかった。
非情であるのが海賊だが、時に常人以上に情け深いのも海賊だ。
みすみす自分の目の前で命が失われるのはなかなかどうして悲しい話じゃないか。
助けられるのなら、それに越したことはない。
座っていたラグから身を起こし、歩みを進めた。
エドワードは落下地点を予測し、大きな身体をめいっぱい広げ落下者を受け止めた。
「ふぎゃん!」
受け止めた者は、人の子のように見えた。
2010/09/16
「あのねぇ、琴里は琴里。おーしゅーのよねざわ城でねぇ、忍としてはたらいてたの」
「そうか。しのびってなんだ?」
「忍は忍!お城のけいびしたり?琴里はまだやらせてもらえないけど、長はていさつやあん殺もやるの!」
「ガキのくせに物騒な事してるじゃねぇか」
子供は船長室で、3人の隊長に囲まれながら坦々と話していた。
空から落ちてきた子供は子供だったけれど、現れ方が特殊だったうえ狙われることが多い白ひげ海賊団としては子供だからといって見過ごせるものではない。
こうして隊長3人と船長である白ひげことエドワード自ら子供の取り調べを行っている次第だ。
しかしながら当の子供はそんなシリアスな空気を微塵も感じる様子もなく、どうやらエドワードの髭に興味深々のようでエドワードよりも髭を見ながら話している。
エドワードの覇気にも3人の隊長の威圧にも当てられず呑気にしているのは、豪胆なのかただ抜けているのかよくわからない。
「おいガキ、どうして空から落ちてきた」
「琴里は琴里だよ!えとねぇ、おひるねしてたらねぇ、長にバレてねぇ、あ、琴里ちゃんとやることはやったんだよ!?長がおこりっぽくてねぇ!!」
「わかったわかった、んで?」
「屋根の上で追っかけられてねぇ、かわら投げられてねぇ、琴里のあたまに当たったの。長ひどいよねぇ!!!けがするよ!!」
「そうだな。続きは?」
幾度も子供の話が逸れていくのを根気強く聞くエドワードは流石1600人もの息子を束ねる親父だなとその場にいた隊長3人は感心していた。
自分たちはもう子供の長話に辟易し、苛立ちさえ感じているのに。
「池にねぇ、おちたの!そしたらね、水の中じゃなくてね、空だった!おちてたの!!」
「池に落ちたら空だったのか?」
「そうそう!お城のお池がね、空につながってたの!琴里びっくりした!」
ため息は、誰の口から出たのか。
2010/09/16
「琴里、お城にもどらなきゃ」
ふと顔をあげた子供は、突然扉の方へ歩き出した。
隊長の一人、マルコがそれを阻む。
「どこへ行くんだよい」
「お城へ帰るの。あんまりおそくなると、また長におこられるから」
さも当然と言わんばかりに、子供は進もうとする。
それを許すマルコではない。
現在このモビー・ディック号には多くの船員がいて、自分はそれの一部を預かる役を担っているのだ。
子供といえど、得体のしれない不審者を好き勝手させるわけには、部下を危険にさらすわけにはいかない。
確かに外見上は普通の子供でも、空から落ちてくるという怪しい登場をしたのだ。
人畜無害そうな顔をして、親父の命を狙ってきた刺客かもしれない。
そんな危険な輩を自由に船内を歩かせてたまるものか。
他の2人の隊長も同じ考えのようで、厳しい視線を子供に送っている。
「えっと、通れないよ?どいて?」
「ダメだよい。お前、ホントのことを言えよい」
「どいて。琴里、お城に帰るの」
「どこにある城に、何を持って帰るんだよい」
「おーしゅーのよねざわ城に、琴里は帰るの」
じわじわと、冷たい空気がマルコから染み出す。
先ほどから腹の中で溜まっていた子供への苛立ちがあふれ出している。
子供は意味のわからないことばかり言う。
要領を得ず、自分の言いたいことばかり言う。
もどかしさと、ジレンマ、意思疎通が不可能なのではないかと思った。
「どいて」
「どくかよい」
親父は止めない。
ならば、したいようにしていいのだろう。
「どいてっ!琴里、お城に帰るのっ!!」
2010/09/16
子供が泣いているからといって、心動かされる大人はこの部屋にいなかった。
子供は大声でわんわんと泣き喚いているが、慰めの言葉をかけようとする者は誰もいない。
涙で動揺するには、多くの涙を見過ぎていた。
「ど、どうして琴里のじゃまするの?ひっひっ、こ、琴里は、お城に、かえ、るの!」
「かえしてよぉ、琴里の、お城に、おうちに!ふぐっ、うぅぅぅ!!」
動いたのは、エドワードだった。
「おい、ガキ」
「ことっ、琴里だも、んっ!」
「そうかい、琴里よ。お前さん、どこへ帰る」
「おーしゅーのっ、よねっ、よねざわ、城」
エドワードはマルコに押さえつけられて泣いている琴里の首根っこをつかみ上げ、外へ出た。
扉の外は、外だった。
潮風が吹く。
眩しいほどの快晴で、大海原がきらめく。
どこまでも続く海と、空。
「琴里、答えろ。どっちに行って、どうやって帰る」
「……ここ、どこ?」
「海だ」
「うみ?うみってなぁに?」
「目の前に広がってる、水のことだ」
子供はぱちぱちと瞬いた。
瞬く度瞳に溜まっていた涙が零れおちたが、新しい粒は溢れていなかった。
「うみは、どこまでうみ?琴里、およげるよ。どっちへ行けばおーしゅー?」
「海はな、ずっと海だ。今は島に向けて航路をとっちゃあいるが、島へはあと三カ月はかかる」
「どうやったらおーしゅーに行ける?琴里、帰れる?」
「帰れねぇよ」
2010/09/16
「帰れねぇよ」
「琴里、お前は帰れねぇ」
「海は泳ぎ切れる広さじゃねぇ」
白ひげが言うと、琴里は再び泣きだした。
先ほどの男に取り押さえられた時の怒りとは違い、突然の宣告への戸惑いの涙だった。
「こ、琴里は、かえる、よ?」
「どうやって?」
「およい、で」
「いつまで泳ぎ続けられる。溺れ死ぬのがうちだ」
「お、およげるもん!琴里、がんばるもん!!」
本当は泳ぎきれないことが琴里にもわかっていた。
どこまで見ても、何の影も見えないほどに広がる水たまり。
果てがあるのかすら疑いたくなる。もしかしたら、この先陸地なんてないかのように錯覚してしまうほど広い、うみ。
ただ、現実を受け入れたくなかった。
気づけば知らない場所にいて、自分の仕事場であり家である米沢城に帰れない。
全てが突然すぎた。
琴里の幼い頭では、理解も納得も出来なかった、受け入れられなかった。
「ことっ、ことり、はっ!」
「おう」
「かえれ、ないの?」
「そうだ」
でも、琴里は白ひげの目を見ると、それが本当のことだと悟った。
悟ってしまった。
「ことり、おしろに、かえれないっ!!!」
2010/09/16
性別は第二話で判明?
琴里→ことりです。
雛ではないにしろ、まだまだ幼いので小鳥ちゃんです。
いつかタカになる日はくるのかしらん。
白ひげ海賊団で、おさなっ子で、忍者で、って考えた結果の今回のお話。
趣味の世界っていーよね!!
新人エースと古参チビッ子の意地の張り合いを書くか
ちびっことその面倒をみる羽目になったエースを書くかでものすごく迷い中。
マルコ 「コトリ、新人だ、面倒見てやれ」
主人公 「あいっ!琴里だよっ!」
エース 「なんでガキが…」
主人公がエースの頭ぽかんっ。
主人公 「琴里は琴里っ!おまえのが琴里より下なのっ!!」
エース 「はぁ!?ふざけんなよ、このクソガキっ!!」
やいのやいの、ぎゃーぎゃー
マルコ 「ガキが増えた…(げっそり)」
ちなみに主人公10歳程度、エース13くらい。原作がどうなのかは知らない。
マルコ 「エースだろ」
サッチ 「エースだな」
白ひげ 「エースか」
エース 「はぁ!?」
白ひげ 「よしコトリ、今日から俺が親父で他は全部兄貴だが、特別にお前の面倒見てくれる兄貴はあれだ。覚えたか」
主人公 「あい」
エース 「ちょ、親父!俺はまだ…!!」
マルコ&サッチ 「「 諦めろ 」」
…前半のがよさそうかな。
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