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KLM

KLMは始まりのABC、終りのXYZの中間に位置する途中経過という意味です。 でも、理系の管理人なのでK殻L殻M殻という意味もあります。

お子さま行進曲 A編その2


A編思いついたからちゃちゃっと。
A17くらい、主人公13くらい?
微妙にアニメ沿い、Avsジンベエ後、親父様がAをけちょんけちょんにしてお持ち帰りしましたとさ。
前回おまけ続編?



 

 


「コトリはなんで、白ひげにいんだよ」

「んー、琴里はねぇ、親父様に拾ってもらって、生かしてもらってるんだよ」

「捨て子か?」

「迷子、なんだろうねぇ。帰れなくて困ってたら、親父様が白ひげに入れてくれた。きっとね、親父様じゃなかったら琴里、いろんな意味で死んでたと思う」

 

夜の甲板で、今日も白ひげを襲い返り討ちにあったエースと、そのエースを海から引きあげたエースの世話係の琴里が静かに夜を共にしていた。
普段はうるさいくらい賑やかな船が、今は食堂から漏れる微かな灯りと酒を飲んでいる連中がいるのだろう、小さな笑い声しか聞こえない。
後は波のさざめく音、風が帆を張る音、それだけだ。
闇に慣れた目は、互いを認識する程度には役立つ。

 

「エースは、どうすんの?」

「どうって…」

「だってさ、親父様に無理やり連れてこられたようなもんでしょ?親父様の首を取りたいんでしょ?でも無理じゃん。じゃあさ、船降りるの?死ぬの?」

「……………………………」

「本気で親父様殺すなら、琴里がエース殺すよ。たぶん、琴里だけじゃなくて他のみんなもエースを殺す」

「…そこまで、白ひげっていいやつなのか」

「琴里、好きな人は親父様だよ!結婚するなら親父様みたいな人がいい!!」

 

暗い夜の中でも、琴里が笑っているのがエースにはわかった。
喜色を含んだ声がエースの耳に届く。

 

「親父様はね、すごいよ。白ひげみんなのお父さんなんだよ!琴里もみんなもね、親父様が大好きなんだよ!!」

「それって、具体的にどうなんだよ。強いからスゲーの?」

「んー、大きい?こう、身体じゃなくて、背中ってゆーか心?」

 

言葉では全く伝わらないが、エースには琴里が何を伝えたいのかがわかった。
身をもって感じていたことだった。
寝首を掻こうと不意を討とうと正面から切り込もうと、どれも白ひげは腕一本でエースをノした。
何度も何度も何度も攻撃を仕掛けるエースを気にした様子もなく、日常の一コマとして受け流す白ひげの度量は大したものだとエースも思う。
それに、千人を超す船員から軒並み崇拝されるのは並大抵のことではない。
海賊王になるための、障害物だと思っていた。
それがこんなに大きなものだったなんて。
憧れてしまうほど、焦がれてしまうほど眩しいものだなんて。
自分の小ささを思い知ってしまったような気がして、拗ねてただけだ。
こんなはずじゃない、自分はもっと大きい人物で、と白ひげの存在を否定したくて、足掻きたくてもがいていただけだ。

認めよう、白ひげは、エドワード・ニューゲートは、尊敬するに足る人物だ。

 

「エース、琴里は親父様にエースの世話をするように言われたよ。エースは、どうしたい?」

「俺は…」

「難しいと思うけどね、エースがどうしても嫌だってゆーんなら、親父様に頼んでエースとエースの仲間を降ろしてって頼んだげる」

 

琴里はエースと向き合い、目を見て言った。
それが本心であることは、付き合いの浅いエースでもわかる。
静寂が、数秒だけ時間を止める。

 

「でもねぇ」

 

琴里の言葉で、再び動き出す。

 

「琴里は、エースが家族になってくれたら嬉しいなぁ」

 

 

 


はい、エース陥落。翌日マルコにより完全に籠絡されます。
2010/09/21

 

 

 

 

 


「マルコー、一緒に寝よー」

 

様式美というらしい形だけのノックをして、返事も聞かずにドアを開ける。
先ほどまでエースと話していたので、夜半を過ぎているが琴里は気にしない。
自分の分の枕だけ持って行けば、それだけでいい。
マルコは起きていたら迎えてくれるし、寝ていてもベットを半分譲ってくれることを知っている。
マルコはいつだって琴里に甘い。
隊長格なので少しだけ優遇されて広い個室、人外並みに大柄な船員が多い中、まだ人間の域を出ない程度の大きさのマルコには少し大きなベット。
琴里一人くらい増えても、窮屈さを感じることはない。

今日ももう床についていたマルコだが、無言のままベットの端に寄って琴里のスペースを空けてくれた。
明かりのついていない暗い室内でも、琴里は障害物に阻まれることなくベットにたどり着く。
整理整頓を心がけるマルコなのでものはあるべき場所にきちんと納められているし、幼いころから慣れ親しんだ部屋なのでどこに何があるか把握している。
枕を置いて、それに頭を乗せるようにして横になればそれでおしまい。
目を閉じて、深呼吸する。
隣の体温が、落ち着く。

 

「さっきね、エースと話してたんだ」

 

返事はない。

 

「やっぱり、みんな一緒のがいいね」

 

マルコに寄り添うと、マルコは身体を回し正面から琴里を抱きしめた。
肩に回された手の重みが心地いい。
胸に顔を埋め出来るだけマルコにくっつく。

 

「おやすみ、マルコ」

 

いつからか別々に寝るようになってしまったけれど、琴里が寝たいというと一緒に寝てくれる。
琴里は親父のことも好きだけど、マルコも好きだなぁ、とマルコの腕の中で眠りについた。

 

 

 


まだあれです、マルコさん片思い中。寝た振りしてねぇとやってらんねー!って感じです。
んで、こんな夜遅くまであの新入りと!ってじぇらしー☆ぼんばー。
2010/09/21

 

 

 

「エースっ!」

 

翌日、エースの白ひげ海賊団入団が正式に決まった。
エースが白ひげに頭を下げ、己の口で意思を伝えた。
そのニュースは瞬く間に船内を駆け巡ったが、誰よりも喜んだのが琴里だった。
白ひげと、幾人かの船員に囲まれた中、笑顔で両腕を広げて駆けてくる琴里が見えた。

 

「これから、よろしくっ!!!」

 

琴里が駆け足でやってくるものだから、エースは嬉しはずかし手を広げた。
自分より年下の世話役だった琴里とは沢山喧嘩をしたけど、それでも一番一緒にいたのが琴里だ。
本当に喧嘩ばっかりだったけど、憎まれ口も散々叩いたけど、嫌がらせもしたしされたけど、てゆーか喧嘩しかしてこなかったけど、殴り合いもしたけど、蹴りも投げ技も能力もありのむしろ死合だったけど。
琴里がいたから、決心できた。
たまには素直に、気持ちを述べよう。

とか思ったら右頬に勢いのついた激しいストレートを頂戴した。

 

「ってぇな!!何すんだよ!!!!」

「よろしくのあいさつ!」

「お前の挨拶は左コーススクリューか!?」

「殴り合ってこそ芽生える友情!」

「誰から聞いた!?」

「みんな!」

 

何も知らず、純粋無垢がゆえに周囲の言うことを真摯に真に受けすくすくと育った白ひげ海賊団琴里。
優しく抱きしめて激励だなんて、そんな甘いお菓子のような所作は習っていない。
おめでとうの気持ちを込めて相手の頬を張り、全身全霊で殴り合ってこそ友愛の完成だと語っていたのは誰だったか。
けっこう大勢いたと思う。

 

「エース、今日はお祝いだから何度でも海に落としたげる!」

 

 

 


エースは芽生えそうになった恋の芽を踏みつぶされたとか。
2010/09/21



この後に、雑草魂よろしく復活しそうになった芽を踏みにじられる編もあったりなかったり。
踏みにじった本人は、こっちが何年待ったと思ってるんだよい、らしいかっこわらいかっことじる。

随分ブランクがあったので、おそるおそるなのですが、ほんの少し文章を重くしました。
てゆーか前のが雑すぎた!なにあれ!!
 

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