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KLM

KLMは始まりのABC、終りのXYZの中間に位置する途中経過という意味です。 でも、理系の管理人なのでK殻L殻M殻という意味もあります。

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お子さま行進曲 子時代編その4 A編その1

 

 

「ふおぉぉおおぉぉ!!」

「飯ごときで何興奮してやがんだ」

 

琴里の目の前に広がる光景は、まさに夢のようだった。

 

「まままっまま、マルコ!これが夕餉!?これホントにたべていーのっ!?」

「そうだよい」

「お、おにくがあるっ!たくさんあるよっ!?今日は何かのいわい!?」

「普通の日だよい」

「た、たべていーの!?琴里も、琴里もたべていーのっ!!」

「嫌だったら食わなくてもいーんだぜ」

 

マルコにしてみればいつもと変わりのない食事内容だったのだが、琴里にしてみれば違うらしい。
一体日頃どれだけ質素な食生活を送っていたのだ、この子供は。
肉が贅沢だとか、こんな量見たことないとか、はじめて見る食べ物ばかりだとか。
子供の平均というものを知らないマルコだが、もしかしたら琴里は平均以下に小さいのではないだろうか。
そしてそれは、満足に食事もしてこなかったからではないだろうか。
そう思うと、子供なりに苦労してきたんだなぁ、と一人納得してしまった。

 

「心行くまで食え」

 

 

 

2010/09/18

 

 

 

 

 

「ふわぁ!おいしーね、おいしーねっ!?」

「美味いだろ、俺が作ったんだぜ!」

「サッチ……すきっ!」

「わはははははははは!!!」

「………………………・」

 

琴里は実に美味そうに、出された料理を食べていく。
子供なので量はあまり食べられないらしく、がっついている割に空になった皿は少ない。
それでも琴里の満面の笑みを見れば、心の底から美味いと食べているのがよくわかる。
一緒に食べているマルコも、本日の料理を担当したサッチも琴里の食べる姿を見て思わず頬が緩んだ。

 

「こんなにたくさん…ぜーたくだ、あしたしんでもくいはない…」

 

琴里が心底幸せそうに言った言葉は、意外と物騒だった。

 

「いや待て待て、コトリ、お前今までどんな食生活してたんだ」

「?ふつーだよ?」

「これしきの食事で死んでもいいとか、ありえねぇだろい」

 

「お腹いっぱい食べるの、はじめて!」

 

あとお肉食べるのもすごーく久しぶり!
そう言って笑った琴里に涙したのは相伴していたマルコとサッチだけではなく、琴里の声の届く範囲にいた船員全員だった。
それ以来、船内で琴里は食べ物に困らなくなったとか。

 

 

 

 

 

最初すきっ!と言った時、マルコさんは少しいやぁな顔をしてました!
2010/09/18

 

 

 

 

 

琴里の部屋はマルコと同室だった。
白ひげと寝かせるにはまだ不明な点が多いし、その点マルコだったら完全に子供を信じ切っていないからいざというとき対処がしやすい。
そんな理由だったのだけど。

 

「コトリ、今日からナースのねぇちゃんとこで寝ろ」

「やだっ!琴里マルコと寝るっ!」

「クソガキ、言うこと聞けよい」

「やーだー!琴里マルコといっしょがいーいー!」

 

マルコはため息をつき、何時の間にこんなに懐かれたんだと最近呼吸よりもため息のほうが多くなったのではないかと思う。
しかしながらマルコもマルコで、これは譲れない。
男だと思ってたのが女だったなんて、扱いに困ってしょうがない。
思い起こせば半裸で船内を駆けまわっていたり、野郎と一緒に風呂に入っていたり。
親父は結婚の約束までしてしまったとか。
一体こいつは教育というものを受けてこなかったのだろうか。
ここはひとつ、おとなしくしおらしく女らしく育ててやろうじゃないか。

 

「あのなぁ、お前も一応女だろい」

「こどもだもーん」

「こんな時だけ子供かよ。うっぜ」

「琴里ひどいこといわれた!?」

 

まぁ確かに胸もぺったんこで実物を見ないと男か女かさえ分からないような子供相手に何を言っているんだと思わないでもない。
だが、男だらけの船の中で万が一があっても困るだろう。
馬鹿に教育して馬鹿を治すのも早いに越したことはない。

 

「おら、ついてってやるから行くよい」

「やぁーだぁー、マルコのうつけものっ!」

 

仕舞には泣きだしてしまった琴里は、その場から消えた。煙のように。
唖然としていると、そういえば逃げ脚だけは速かったということを思い出した。
まさかこんな小さな子供に逃げられるとは思っていなかったマルコはまたため息をついた。
探さないと、きっと他の野郎の所へもぐりこむのだろう。

 

「とんだ面倒しょいこんじまったよい」

 

 

 

 

2010/09/18

 

 

 

 

 

「親父、クソガキ知らねぇ…」

 

あちこち船内をうろついて琴里の行きそうなところはおおよそ見て回った。
あと見てない所で琴里が行きそうな場所といえば。

 

「遅かったな、グララララ」

 

いた。
親父の腹の上で丸まって寝てた。

 

「ったく、世話掛けさせやがって」

「マルコのバカってぎゃんぎゃん吼えてたぜ」

「これからナースんとこで世話になれっつっただけだよい」

「なんだ、面倒みるのに飽きたか」

「男と女が同室じゃ、教育上よろしくねぇだろ」

 

次の瞬間待っていたのは、親父の大爆笑だった。
衝撃で眠っていた琴里も飛び起き、きょろきょろとあたりを見渡す。
そしてマルコと目があった瞬間、ぴゃぁとわけのわからない悲鳴をあげて親父の布団にもぐりこんだ。隠れたのか?

 

「コトリ喜べ、お前の貰い手が決まったぞ!」

「ハァ?」

「琴里ずっとおやじといっしょにいるもん」

 

布団の中からもごもごと声がする。
親父は琴里を布団の中から引っ張り出して、俺の方に向けた。

 

「コトリ、マルコがお前がでかくなったらもらってくれるとよ。グラララララ」

 

 

 

マルコルート確定。
2010/09/18

 

 

 

 

 


「お前、こんなガキに男も女もねぇだろ。なのに何意識してやがんだ。え?」

「や、ただ単にガキっつっても女だしよ」

「こんなガキを女として意識するか。そりゃ傑作だ!」

 

琴里は話に参加することを諦めたらしく、親父の横で大きな欠伸を連発している。
時刻は深夜、子供が起きておくには辛い時間だろう。

 

「親父、俺はな」

「いいじゃねぇか、今のうちからツバつけとけ。こいつぁきっといい女になるぜ、グラララララ!」

「…………………歳の差とか」

「コトリ、マルコは好きか?」

 

突然話題を振られた琴里は眠たげにマルコを見る。
こいつ、生意気だけど愛嬌だけはあるよなぁとマルコは思った。
琴里はふいと視線をそらすと、親父に抱きついた。

 

「琴里、おやじがいちばんすきっ!」

 

 

 

結論が出た!
2010/09/18

 

 

と、ゆーわけでマルコ苦労物語の幕開けです。
この後の流れは…うーん、日常話1話、戦闘話1話、それからエース?ってな予定は未定。
マルコが多くなるのは確定^^^^^^^^^
だってアニメマルコかっこよすぎだ…!!惚れる以外の選択肢が見つからなかった!
ただし声がなぁ、若すぎだろー…。よいよい四十路よね?どう考えても20代にしか見えなかった、聞こえなかったorz

ちなみに、エースの白ひげ入りを捏造しようか原作で行くか激しく悩み中。
原作→青年エースが白ひげ入り
捏造→幼少エースが白ひげ入り
さぁ、どうしようかなっ!!!

ちなみに原作ルートだとこんな感じ。
エース16?主人公12くらい。







「あれ、航路かわった?」

「ちょっとナンパしに行くんだとよい」

「ナンパぁ?親父様が?強いの?」

「さぁな」

 

見張り台からいつものように飛び降りてきた琴里は、進路方向を難しい表情をして見つめているマルコに近寄った。
そういえば、最近船の空気が、白ひげの空気が少し変わったように思う。
琴里はここ数週間の間に変わったことを思い出し、あ、と声をあげる。

 

「あの、えっと、ハートの海賊団!」

「スペードだ」

「の、ジョーカー!」

「エース。お前のバカはいつになったら治るんだ…」

「えー、あれ誘うの?強そうだけどさ、ガキじゃん!」

「少なくともお前よりは上だろうよい」

 

琴里が白ひげ海賊団に入って、幾年も経過した。
身長は少し伸びて、身体も幼年期から青年期へと順調に移行していた。
けれど、頭のほうがちっとも伴っていないことをマルコは知っている。
物覚えが悪いし、色々間違うし、色気もないし、兎に角バカだ。

 

「ふぅん、そんな子供を親父様御自らねぇ…」

「親父には親父の考えがあるんだろうよ」

 

 

 


けど、馬鹿は馬鹿なりに成長した。
2010/09/19

 

 

 

 

 


「おいコトリ、お前がこの新人の面倒見ろ!」

「ほんと!?この人琴里が面倒みていいの!」

「好きにしろ。ただしこいつも新入りだが俺の息子だ、加減しろよ」

「はぁい!親父様!!」

 

琴里は白ひげでずっと下っ端だった。
もう入団歴は長いものの、年齢が幼いからという理由で何かと年長者にこき使われている身だった。
もちろん戦闘においてはそれなり以上に活躍するので上下関係ではなく、単なる年功序列からくる扱いだったのだが。
なので、今回自分と歳の近いエースの世話を任されることが、やっとパシリから解放されることが嬉しかった。

気絶して白ひげに抱えられているエースに駆け寄り、にこにこと嬉しそうな顔をする。

 

「琴里だよっ!今日から面倒見てあげるからねっ!!」

 

 

 


2010/09/19

 

 

 


エースが気がついてからというもの、モビー・ディック号は琴里が幼かった時以上に騒がしくなっていた。
一人よりも二人、子どもというのは増えると倍ではなく倍以上にうるさくなるらしい。

 

「エースまてこら、逃げんなっ!」

「誰がテメェ見てーなガキの世話になるか!」

「ふーんだ、琴里より新人のくせにぃ?琴里に面倒みられてるくせにぃ?」

「あー腹立つ!絶対泣かす、後で泣かす!!!」

「泳げないエースはぁ、親父様の返り討ちにあってぇ、海に投げ出されてぇ、琴里ちゃんにぃ、助けてもらうのでしたぁ」

「殺す!むしろ今ここでこの俺様が殺す!!!」

 

ここまでがいつもの流れである。
エースの世話役を白ひげ自らに命じられた琴里は、それはもう張り切ってエースの面倒を見ている。
しかし男所帯の中で育った琴里に人並みの優しさは皆無だった。
むしろ荒っぽさが目立つ海賊らしい性格なので、同じ子供であり海賊であるエースとはウマが合い過ぎているのだろう。顔を合わせればいつも騒いでいる。



「ふふん、琴里ちゃんにかってるっかなぁ~?」


 

 

主人公のが弱いですが、海に投げ落とすという最終手段を持っているので船内では主人公>エース
そのうち逆転します。そして主人公がエースに挑む日々が来るとか来ないとか。
2010/09/19

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