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KLM

KLMは始まりのABC、終りのXYZの中間に位置する途中経過という意味です。 でも、理系の管理人なのでK殻L殻M殻という意味もあります。

お子さま行進曲 A編その3


今回からタイトル付きました。
前のもタイトル挿入。とか言っても新作はこれだけです。あしからず。



 


昼間、普段なら食堂で振舞われる酒や肉が今日は甲板で食されていた。
新入りエースを迎えるにあたっての宴である。
余興となった琴里vsエースの殴り合いで、三度エースが海へ落ちたところで用意が整った。
仲良く片頬ずつ腫らし、琴里が海に落ちたエースを抱えて戻ってきたところで宴が始まる。

 

「俺女子供はぜってぇ殴んねぇって決めてたのに…。つーかお前はサルだ、サルだから関係ない。ノーカンだ」

「エースのがガキ!」

「ちーび」

「ばーか」

 

呑めや騒げや歌えや、二人を囃し立てる者は多いが、宴が荒らされてはたまらないと二人の距離の間を取るものも多い。
ジョズが琴里を担ぎ、サッチがエースの肩を組む。

 

「おらコトリ、主役を俺らにも譲れ」

「エース、俺らとも遊ぼうぜ」

 

それから琴里は船員たちの間を流れ流れ、ある時はビスタの腕に乗っていたり、ブラメンコの腹に埋もれていたり、イゾウと酒を酌み交わしていたり、平の隊員とも楽しくどんちゃん騒ぎをしたり。
対するエースも稀代の新人だとサッチに茶化され揶揄され、琴里はみんなの可愛い娘だから手を出すなとかなり大勢の船員から釘を刺されたり、白ひげと無言の時間を楽しんでみたり。
再び琴里とエースが顔を合わせた時は、すでにかなりの時間が経過していた。

 

「あー、エースだぁ!ちょっとぶり!!どう?みんないい奴らでしょ!」

「お前…なんつーか愛されてんなぁ」

 

琴里はもう10年近くモビー・ディック号に乗っている。
古参の隊長や船員は琴里の成長をずっと見守ってきていたので、白ひげ海賊団はみな家族だが、それでも小さいころから今までの10年間は一般の隊員以上に愛着がわく。
自分たちの手で育ててきた、可愛い娘なのだ、琴里は。
今まで他の船員と関わることのなかったエースは、この船での琴里の立ち位置を単なる雑用だとしか思っていなかったが、それはどうやら琴里の一部しか示していなかったらしい。
色々な船員と話したが、みな一様に琴里のことを話していた。

 

「エースは琴里の弟ね!初!弟!!!琴里がねえちゃん!」

「はぁ!?お前幾つだよ、どう見たって俺より下だろ!!」

「んー、よくわかんけど、じゅう…いちにいさん…じゅうしごさい?」

「うっわ、超ガキ!やっぱ俺のが年上じゃねーか。俺がにいちゃんだ!」

「そんなかわんないしぃ?琴里のが白ひげでは長いしぃ?お世話役立しぃ?」

 

また喧嘩が始まるかと周囲はざわついたが、互いに酒が入っているせいか取っ組み合いにはならなかった。
がっちりと肩を組み、けらけら笑いだしたのだ。
気が合い過ぎて喧嘩ばかりの子供たちは、喧嘩するほど仲がいいらしい。

 

「手間のかかる弟ができたことにぃー!」

「くそ生意気な妹ができたことに!」

 

「「かんぱーい!!!」」

 

けらけらけら。
互いに肩を組んで、仲良く笑っている。
歳の近い子供というのもさることながら、エースがモビー・ディック号に乗せられてから約3カ月の間、ずっと琴里はエースと一緒にいたのだ。
琴里は元来人懐っこい性格だし、エースも人見知りをするような性格ではない。
楽しいこと大好きな子供二人が、仲良くならないわけがない。
例え喧嘩ばかりでも、根本では互いが好きでしょうがなく、遊びたいだけなのだ。
笑って歌って楽しんで、エースの手が琴里の肩から腰に回ろうとした瞬間、

 

「コトリ」

 

さっきまで白ひげと呑んでいたマルコがぺたぺたとサンダルを鳴らしながら歩いて来た。
呼ばれた琴里は、甲板でジョッキを片手に持ちもう片方の手をエースの肩に回して座っていたがぴょんと勢いよく立ちあがり、そのままマルコの首に抱きつきに行く。
行き場を失ったエースの手が、ふらふらとそのまま自分の膝に戻ってきた。
目の前から現れたマルコに抱きつきに行ったので、エースは琴里の後ろ姿しか見えない。
しかも、琴里の背中には、エースが直前まで触ろうと手を伸ばしていた腰には、マルコの手が伸びている。

 

「マルコっ!きーてきーて、琴里弟が出来たっ!!」

「そーかよい。お前はそろそろ寝る時間じゃねえのか?」

「んー、今日はもうちょっと起きてる!」

「明日は島につくらしいよい」

「え、ホント!じゃあ寝る!!」

「部屋、使っていいぜ」

「いいの!?じゃあ先寝てるね!」

 

エースは酒に酔った頭で、目の前の会話をまとめていた。
なんだ、なんだなんだこの甘い会話は。
ともすれば恋人どうしのように聞こえなくもないというか恋人同士の会話は。
琴里の背から目をあげ、1番隊隊長マルコの顔を見た。
めちゃくちゃ目があった。
口の右端だけをあげて、マルコは笑う。

 

「コトリ、今日も一緒に寝るか?」

「とーぜんっ!」

 

 

 

 

 

大人げないマルコさんは除草に余念がない。
以下蛇足。
2010/09/22

 

 

 


「あー、琴里はマルコのだからなぁ。あいつも無駄に一途で、かれこれ10年の片思いだ。10年の執念はこえぇぞ」

 

現場を見ていたサッチが、慰めがてら酒瓶を持ってやってきた。
そこに琴里を送り終えたらしいマルコも合流する。
マルコはエースの横に腰を下ろすかと思えば、そのままエースの前に立ってエースを見下ろす。

 

「エースつったか」

「っす」

「あれは俺んだよい」

 

 


新入りなのとヘタレなのとで、海賊だから奪って見せる!とか言えなかったエース。
そして大人げない隊長は威圧感たっぷりでだいぶんマジだったとか。
2010/09/22


明言しておこう、ぶっちゃけマルコと主人公がどうやってくっつくかわたしにもわからない!!!
ただ単にマルコを書きたいだけなんだ!!!
でも、主人公もマルコのこと普通の人よりは好きだよ。船長には負けるけど。
たぶん現状では、親父様→そんけー マルコ→おとーさん
くらいにしか思われてないよ^^^^^^^^^^^^

「マルコ?すき!安心する!」

こんな事言われてるから、手を出せないマルコ^^^^^
そんなこんなでも、そのうちくっつくんじゃないかなー(他人事)
だってくっつけなくてもいちゃいちゃしてるんだもん。

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