KLMは始まりのABC、終りのXYZの中間に位置する途中経過という意味です。 でも、理系の管理人なのでK殻L殻M殻という意味もあります。
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≪ お子さま行進曲 マルコ編その1 | | HOME | | お子さま行進曲 A編その3 ≫ |
「ねぇ、それなに?らくがき?」
休憩に入ったのだろう、琴里は甲板で昼寝をしていたマルコのもとにやってきて、横になっているマルコの上にのっかった。
これが絶世の美女だったらなぁなんてことを思いながら、マルコは起きあがる。
腹の上だった琴里を膝の上に移動させてやり、どう説明するかな、と考えた。
琴里が指差したのは、マルコの胸にある白ひげ海賊団の刺青だった。
刺青は白ひげに忠誠を立て、白ひげ海賊団としての誇りとなる。
なので見える位置に入れている者がほとんどで、琴里も気になったのだろう。
「これは刺青だよい。あー、消えねぇ絵だ」
「おふろでも?」
「風呂でも」
「せっけんでも?」
「そーだ。絶対消えねぇ」
琴里は試しにごしごしとマルコの胸をこすってみる。
消えなかった。
「ほんとだ、きえない!」
「これはな、親父のシンボルだ」
「しんぼる?」
「親父の息子だっつー証明みたいなもんか?まぁお前の場合娘だけどな」
「琴里もする!いれずみ!!」
まぁ一応とはいえ琴里も白ひげ海賊団の一員なのだから、入れてもいいのではないだろうか。
世間一般では娘のやわ肌に刺青なんかとんでもない話なのだろうが、本人も入れたいといっているし、白ひげ海賊団だから入れていいとマルコは思う。
しかし、これからまだまだ成長するであろう子供に彫るのはどうなのか。
見苦しいことにならないだろうか。
「あー、もちっとでかくなってからな」
「えー!琴里も白ひげだもん、いれたいっ!」
「いま入れても、でっかくなったら伸びて変な形になるぞ」
「………マルコたまには頭いいなっ!?」
とりあえず、一発殴っといた。
2010/09/19
「エースの腕のそれは刺青?」
「おう。かっけーだろ!」
「ばってんは?」
「………………………・」
「あ、間違えたんだ?自分の名前なのに?エースばっかじゃん。ばーかばーか」
「うるせー!!!!」
「知ってる?刺青って消せないんだよ!エースかっこわる!」
「そんなに俺に泣かされたいか。そうか、そうなんだな!?」
テーブルをはさんでエースがいきり立った時、ふと琴里が笑うのを止めてエースを見た。
「ねぇ、痛かった?」
「あん?」
「刺青入れる時、痛かった?」
「そりゃな。いてぇよ。でもまぁこの俺様だからいてぇなんて一言も言わなかったけどな!」
自慢げに語るエースを見て、エースが大丈夫ならあたしも大丈夫だ、と琴里は笑った。
「エース、あたし、白ひげの刺青いれるよ!やっと!」
「そういやお前、古参なのに入れてなかったのな」
「子供だから、入れられなかったんだ。でもね、そろそろいけるかなって!」
「マルコさんに許可取ったのかよ。あの人うるさそうだけど」
「うひひ、内緒!おどろかせる!」
2010/09/20
「おい、コトリ知らねぇかよい」
「あれ、マルコさん知らねぇんスか?」
エースが以外といわんばかりに驚いた顔をしてマルコを見た。
マルコはマルコで、自分は知らなくてエースのほうが琴里のことを知っていて少しむっとする。
「じゃあアイツ勝手にやってんのか。うあー、どーなっても知らねー」
「変に隠すなよい」
「あー、いや、知らねっス。たぶん本人の口から聞いた方がいいと思うし…」
エースは琴里がどこで何をしているか知っているらしいが、言う気ではないらしい。
言葉尻からして、あまりよくない予感がする。
マルコはますます機嫌が悪くなるのを感じる。
そしてそれを感じ取ったエースは慌てて、去って行った。
*
「コトリ」
「あー、マルコー!えっへっへっへっへ」
琴里はものすごく上機嫌で、マルコを見かけ次第抱きついてきた。
それを抱き返してやると、笑顔だった琴里が一瞬顔をしかめた。
手を離して解放してやると、また笑顔に戻ったのだが。
「どうしたよい」
「いやぁー、えへ、でへへへへへへ」
「気持ちわりぃ」
「だぁってさぁー!」
琴里が再びマルコに抱きつこうとして、はっと気づいたようにそれをやめた。
普段過剰なまでにスキンシップをとってくる琴里には珍しく、そういえば先ほども抱きついてきた時おかしかったのを思い出す。
「どうしたよい」
「や、今はちょっと…」
「そういやお前、今まで何してた」
聞くと、よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりに琴里の顔が輝いた。
「あのねぇ、あのねぇ!……もちょっとしてからのお楽しみ!」
「なんだよ、そりゃ。気になるだろ」
「んー、ちょっとねぇ、今はねぇ…。でもねでもね!明後日くらいにはマルコに見せる!一番最初だよっ!!」
それじゃ!と行ってしまった琴里と、残されたマルコ。
琴里を探していた理由は大したものではないのだが、こうそっけなくされると追いたくなるのが男の性である。
2010/09/19
その日から8日、琴里はいつも通りに振舞っていたが、スキンシップが一切なかった。
いつもなら誰かしらに飛びついたりマルコに抱きついたりべたべたひっついたりしているのが一切ない。
マルコはあまりハグやら何やらするほうではないが、毎日されていたのが急になくなっては不満も出てくる。
てゆーか欲求不満だ。
あと、琴里の露出が減った。
成長してもまな板だった色気も何もない胸元や腹を惜しげもなくさらしていたのが、今では長袖のシャツだ。
そりゃ過去もう少し露出を抑えろと言ったことはあるが、実際そうなるとものすごく足りないものがある。
「コトリ、お前最近どうしたよい」
「んー?別になんもー?」
マルコの部屋でだらけている琴里は実にいつもどおりなのだが、いつもだったらマルコの背に寄りかかってきたり茶々を入れたりしてくるかまってちゃんなのだ、琴里は。
鬱陶しくも長年続いていた行為だ、なくなったら寂しい。
ついに我慢できなくなったマルコは、イスに座っていた琴里に後ろから首腕を回し頭から抱き締める。
自分でもよく我慢したほうだと思う。
「うぉ!?マルコどうした!!」
「…………………………・…どうもしねぇよい」
「珍しい!」
すると、琴里はマルコの腕の中でくるりと半回転し、マルコに抱きついた。
マルコを思い切り抱きしめ、胸に顔を埋める。
「あー、久しぶりだぁ。マルコだぁー」
「お前最近近寄ってこなかったからな」
「うん、やっとね、痛みも引いて色も綺麗になったんだよ!」
嬉しそうに話す琴里だが、マルコにはなんのことかわからない。
胸を押すので抱きしめていた腕を緩めてやると、琴里は一気にシャツを脱いだ。
一瞬目を見張ったマルコだが、すぐに合点が行った。
「それ…」
「うん!白ひげ海賊団の刺青っ!やっと彫ったんだ!!」
琴里の胸元から腹にかけて、白ひげ海賊団のシンボルが彫ってあった。
「あのね、マルコとおそろいなんだよ!」
2010/09/19
「痛かっただろ」
「痛かった!」
「女なのに前に彫ってどうするよい」
「んー、考えてなかった!」
「つーか、脱ぐなよい」
「マルコだし、いっかなって!」
「あのねぇ、あのねぇ、約束どーり、マルコが見るの最初だよっ!」
あぁもう本当に。
本当の本当に、馬鹿だ。
馬鹿だ、琴里は。
「うあ、マルコ、くすぐったいよ」
再び琴里を抱きしめて、肩に顔を埋める。
懐かしい、この身体。
刺青を彫るのは痛い。
広範囲だとなおさらだし、マルコ自身も経験したから知っているが前面は痛い。
数日間おとなしかったのは、痛みを堪えてたからか。
琴里のことだから、考えなしに彫ったのかもしれない。
けれど、自分と同じ場所を選んでくれたのが嬉しい。
「俺以外に、見せるなよ」
え、無理。だっていつものかっこ(露出度高)するし。
2010/09/19
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