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KLM

KLMは始まりのABC、終りのXYZの中間に位置する途中経過という意味です。 でも、理系の管理人なのでK殻L殻M殻という意味もあります。

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HSK高尾を書く技量がない。

まさかの12パロ高緑だよ\(^O^)/
一体だれがここまでやることを想像できただろうか…。



 

 

 


「主上、今朝の朝議では余りに軽率な発言では御座いませんか。王と云う自覚をお持ちになり、言葉の端々にも気を配る事も覚えてくださらないと困ります」

「あのさー」

「主上、幾ら正寝とは雖も誰が見ているかわかりません。今一度机の上に足を投げ出さないという事を学習くださいませ」

「あのさー」

「主上」

 

朝議を終え正寝に戻り、高尾派正していた形相を崩し、袍が崩れるのも厭わず長椅子に横になった。
新王即位ということでやることは尽きず、登極の式典例祭その他諸々、前王が遺した朝廷の整理など、忙殺されている。
初勅さえまだ決めていないし、働かせっぱなしの頭を少し休める時間が欲しかった。
正寝であればたった一人を除き、女御なども許可なく入ることはできない、唯一くつろげる場所だった。

高尾は寝そべっていたのを腹筋で起き上がり、胡坐をかいて目の前にいるむすっとした緑間を見た。
怒ってても綺麗な顔だよな。あ、でもあんまりしかめっ面しすぎて眉間に皺がいくのはだめだ。でもその真剣な目がすき。
なんて緑間を見た瞬間に思ってしまったが、言いたいことはそれじゃない。
ここ最近ずっと言いたいことがあるのだ。

 

「あのさ、真ちゃん」

「なにか」

「小言は幾らでも聞くよ。俺真ちゃんの小言聞くの好きだし」

「余りわたくしの口から小言が出ぬよう努めていただきたいのですが」

「好きだからやめらんねーかも。呆れたような真ちゃんの目と、俺をしっかりさせようとする真ちゃんの思い、俺を正そうとする言葉ってなんかきもちくてさ」

 

へらっと笑う高尾に眉を顰め、また緑間は主上、と口を開く。
その声にかぶせるようにして、高尾がそれを制止した。

 


「ストップ!だからそれ!」

「は?」

「その主上ってやつ!それやめね?」

「主上、一体何をおっしゃるのかと思えば。主上は主上で御座います。この国の、この国の民の、ひいてはわたくしの」

「なーんかさ、慣れねーンだよ。真ちゃん蓬山にいたとき、俺のこと高尾って呼んでたじゃん?」

「わたくしの非礼をお許しください。主上を主上と知っての狼藉にございます」

「別に謝って欲しいわけでもなんでもなくて。また高尾って呼んでよ、真ちゃん」

 

高尾がまだ王ではなく昇山者だった時、緑間は孤高不恭の生き物として蓬山の主を務めていた。
緑間は高尾を高尾と呼び寛厳な態度で接し、高尾は緑間に礼を持って接していた。
それなのに、今では緑間は高尾を主上と呼び恭しく接してくる。
高尾の態度は変わらず、緑間を真ちゃんと呼び気安く接しているのに、緑間は高尾と呼んでくれなくなった。
高尾はそれが気にいらなかった。

高尾自身が緑間の主となってしまったことは不可抗力だ。
主になったからと言って、下僕になれと言ったつもりはない。
緑間はまじめ過ぎるきらいがあるので、主従関係となったからには、と態度を改めただけのことなのだろう。
王と麒麟、それが正しい立ち位置なのかもしれない。

だけど。

高尾が長椅子から立ち上がると、今度は緑間を長椅子に座らせた。
緑間が高尾よりも高身長なので、高尾が緑間をきちんと見るためだ。
そして己を見上げるようになった緑間の正面に立ち、しっかり緑間の目を見て言う。

 

「真ちゃん。出会ったとき、俺は昇山者で真ちゃんは蓬山公だった。それが今は王と宰輔だ。違いはわかる?」

「わたくしが下僕で、主上が主ということですか」

「うん。いちおー、そゆこと。でもな、その前に俺と真ちゃんの間にあるものがある」

 

訝しそうにこちらを見上げてくる緑間に、高尾ははにかむように笑った。

 

「俺は、真ちゃんが好きなんだ。尊敬してるし、憧憬してる。真ちゃんが俺を選んでくれて本当にうれしい。
 だからこそ、俺は真ちゃんと対等にありたいんだ。
 出会ったころ見たいに高尾って呼んで欲しいし、思ったことは遠慮しないで言ってほしい。
 俺は真ちゃんに思ったことを言うし、偶には文句だって言うかもしれない。
 だけどそれは、俺が真ちゃんを信頼してるからなんだ。

麒麟とか王とかじゃなくて、俺は、俺が選んだ真ちゃんと、一緒にやっていきたい」

 

最後はまじめな顔をする高尾に、緑間は思わず目をそらした。
王と麒麟、絶対的君主とその下僕。
その関係は、敬い諂うだけではないのだろうか。
もっと別の何か、もっと大事なものがあるのだろうか。

もう一度視線を高尾に戻したとき、高尾の顔を見たとき。
希望が見えた気がした。

緑間は目の前にいた高尾を横にどけ、長椅子から立ち上がった。

 

「官吏が待ち草臥れる。すぐ女御を呼んで身なりを整えろ」

「うーい」

「返事ははいだ!」

「ひひっ」

「なにがおかしい」

「いやー、俺やっぱそっちの真ちゃんがすきだわ」

「ふん、後で後悔しても知らんからな」

「偶に殊勝な真ちゃん懐かしいと思うかもだけど、今の方がずっといいさ」

 

正寝から庭へ出て、内殿へ向かう。
足取りは二人とも軽い。

 


「行くのだよ、高尾」

「オッケー、真ちゃん」

 

 

 

 

2012/10/08
高尾王の「すき」は、恋愛感情よりも真ちゃんに対する尊敬の念が強いと思います。
 

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