KLMは始まりのABC、終りのXYZの中間に位置する途中経過という意味です。 でも、理系の管理人なのでK殻L殻M殻という意味もあります。
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
≪ アウトドア派 | | HOME | | あとむいか ≫ |
ずっとこそこそ書いてたハリポタ夢。
最初に書いたのが08年てwww
これは昔から書いてた割に、本邦初公開だったりする。
暗いよ!
デフォルト:遠藤アシ (アシュリール・クェストリン)
この世は、辛い。
非情で無情で余情がない。
わたしがあたしに変わった瞬間に感じたこと。
あぁ、あぁ。
涙はいくら流しても枯れることはない。
どれほど叫ぼうと喉は嗄れない。
死をもって清算しようにも臆病な心が許さない。
目はいつの間にか常に腫れぼっている。
声は野太く変化する。
死は傷となって腕に刻まれる。
眠ることが怖くなった。
目覚めて突きつけられる現実に耐えられない。
人を信じられなくなった。
語りかけてくる貴方をあたしは知らない。
すべてを否定するようになった。
存在する世界が違う。
どうしてこうなったのかはわからない。
諦めてしまおうと思ったことも何度もあった。
けれどそのたびに思い出があたしを引き留める。
そう、死んでしまえはすべてが終わるのに。
それが出来ないあたしは、なんて憶病なんだろう。
この世が、生きることが、すべてが辛いとあたしは思う。
だったら死ねばいいのに、それが一番手っ取り早いのに、あたしはそれが出来ない。
死ぬのは怖いし、痛いから嫌だ。
中途半端なあたしは、辛いのも楽しいのも、悲しいのも嬉しいのも、全部全部遠ざけて生きていくことしかできない。
生きることが辛いだとか、世界があたしを嫌いなんだとか、生きてること自体が間違ってるんだとか、そんな泣き言ばかり叫んで生きてる。
いや、生きているのか死んでいるのか分からない。
生きている意志がないのなら、それはもう死んでるんじゃないのか。
でも体は死んでないから、生きても死んでもいない中途半端。
どうしたらあたしは救われるんだろう。
どうすればあたしは元の世界に戻れる?
日本人の会社員遠藤アシが、イギリスの孤児院で目が覚めて十余年。
大人から子供に生まれ変わって、日本からイギリスに変わって、取り巻く環境が変わって、もう十年。
ねぇ、どうしてあたしは、ここにいるの?
遠藤アシが二度目に目覚めたのは、孤児院だった。
そこには今まで二十数年間育ててくれた家族はいない。
一緒に学び育った友人もいない。
共に働き恋をして愛した相手もいない。
親族も、知人も、友人も、恋人も、誰も誰もいない世界だった。
目覚めた世界でアシは、二度目の人生を送ることになる。
それまで平凡な会社員だったアシは、また、子供となって目覚めた。
自由に動くはずの手足が不自由で、思ったとおりに動かない。
見慣れた視線は低くなり、階段を上るのにも苦労するようになった。
そして変わってしまった自分の外見。
純日本人だった。黒髪で黒眼で、身長も低くて黄色人種で。
けれど、金髪碧眼、幼いながらもすらりと伸びた手足。
最初に口にした言葉は泣き声で、叫び。
縮んだ体と変わった世界に悲壮して、その世界で生まれ二年、初めて発した言葉がそれだった。
大人だったものが子供になるもどかしさ。
知人が誰もいないという孤独。
生み落された場所はアシが依然暮らしていた日本ではなく、英語圏のどこか。
言葉のわからない苦痛は、アシを更に突き落とす。
気づけば、アシは孤児院で孤立していた。
いつまで経っても誰にも心を開かず、喋ろうともしない。
いつも塞ぎこんでいて、時々狂ったように喚きだす。
大人はアシを無視するようになり、子供にもそれが伝染する。
アシが疎外されるまでいくらもかからなかった。
前世の記憶を持つアシは世界を拒んだ。
生まれ変わりなんて信じない。
前世の記憶をそのまま持つものは生まれ変わりでも何でもない、転生だ。
生きて、死んで、もう一度目が覚めてしまった。
それならば、アシもまだ納得できただろう。
けれど、アシには死んだ記憶がない。
老衰で、病気で、ゆっくりと徐々に死んだのなら記憶にも残ろう。
そして、二度目の目覚めを受け入れられたかもしれない。
もしかしたら、事故、殺人、何か突発的に死んで、死んだ事実さえも知らずに死んだかもしれない。
だから、こうして別の世界に生まれ変わった。
そう思おうとアシは努力したが、現実を受け入れることができなかった。
周りはアシのことを別の名で呼ぶ。
それがこの世界での名かもしれなかったが、アシにはアシという名がある。
そう、遠藤アシは他の誰でもない、遠藤アシなのだ。
体が変わろうと、世界が変わろうと、国が変わろうと、アシがアシであることに変わりはない。
だからこそアシは、世界の変化に耐えきれなかった。
今日もアシは泣く、帰して、還して、返して、と。
神様、あたしが何をしましたか、全てを取り上げられるほど悪行をこなしましたか。
あぁ、あぁ、あたしは誰、わたしは誰。
いつか自分を誰か思い出せなくなったら、あたしは誰になるの。
アシのもとに奇妙な手紙が届き始めたのは、孤児院で誰もがアシをいないものとし、アシもすべてを拒絶しているときだった。
精神的にいつも不安定なアシは、すべてに対して臆病だ。
だから突然来た怪しげな手紙にいっかな近づこうとしなかった。
もちろん届く手紙は友人知人からのものではない。
こちらの世界でアシは人と関わりをもたなかったし、もとうとも思わなかった。
だから、手紙が届くわけなんかないのだ。
なのに毎日届く手紙。
部屋に届けられる手紙を無視し続け、その量は増える一方。
謎の手紙は次第にアシを追い詰め、震え上がらせる。
手紙は日ごとに量を増し、アシの机の上にあふれていく。
それはアシに恐怖しか植えつけない。
アシは手紙が届き始めて、ただでさえ細い食が途絶え、伸びた爪で肌をかきむしる日々が続いた。
どうしてどうして、どうしてあたしだけがこんな目にあうの。
あたしは手紙なんて知らない。
だってあたしは独りだもの。
そうよ、あたしは独りなの、独りなの。
どうしてあたしは独りなの?
お父さんお母さん、弟だっていたし、友達もたくさんいた。
彼氏だっていたし、結婚するつもりだった。
会社の人もいい人だった、嫌な人もいたけど、いい人もたくさんいた。
会社帰りに飲み屋によってお気に入りのカクテルを飲むのが好きだった。
自分の力で借りた2LDKのマンションのふかふかのソファーに座って、お風呂からあがって22インチの薄型ワイドテレビの電源をつけて。
あぁ、あのあたたかい場所に帰りたい。
どうしてあたしはこんな所にいるの。
どうしてあたしは幼いの。
どうして周りは日本語じゃないの。
どうしてあたしは黒髪黒目じゃないの。
どうしてどうして。
どうしてあたしばっかりこんな目にあうの!
アシの叫びが孤児院に響く。
いつものことなので誰も気にとめないが、若干名煩そうに顔をしかめた。
「そうそうお泣きでないよ。あぁ、腕も傷だらけだ」
いつの間にかアシの傍に、一人の老人が立って足に手を差し伸べていた。
もちろん、突如現れた老人にアシが怯えないわけがない。
「いや、いやああぁぁぁぁぁあぁぁ!!」
「大丈夫じゃ、大丈夫」
「いや、いやぁ、こないでぇっ!」
髪を振り乱し、アシは部屋の隅まで下がり縮こまる。
荒く息を吐き瞳孔を開くその姿は獣そのものだ。
迂闊に手を差し出せば攻撃されかねない。
老人は困ったように笑い、どこからか飴を取り出してアシのほうに差し出した。
「食べるかね?」
アシが受け取るはずもない。
「手紙を受け取ってもらえんようだったのでな、直接言いに来たんじゃ。
アシュリール・クェストリン嬢。おめでとう、ホグワーツ魔法魔術学校へ入学が許可された」
それだけを言うと、老人は失礼したね今日は帰るよ、といいまた消えた。
一人部屋に残されたアシは、ただただ叫ぶだけだった。
2008/07/01
その後も老人は度々現れては、アシに語りかけた。
けれどアシは慣れるどころか、逆に警戒心を強くしていく一方だった。
突然煙のように現れる正体不明の老人に、アシは日々脅える。
今、この瞬間、また、突然にあいつが現れるかもしれない。
そんな恐怖に日々を苛まれ、アシの精神はもうギリギリのところまできていた。
何日かぶりに自室を抜け出し、こっそりと部屋に持ち帰ったそれ。
アシはそれで自分の肌をなで、溢れるものと感じる温かさに目をつぶる。
もちろん、それはある目的があって調理室から持ち帰られたものだ。
ある目的とは、
「・・・・・・・・・っ!!」
「やぁ、今日も来たよ」
「ああぁぁぁぁぁぁああぁぁああああ!!」
老人に対抗する、武器。包丁。
自分の生活をかくも乱す敵を排除しようと、アシの精一杯の自己防衛だった。
後先のことは考えない、ただ、今はこの恐怖を取り除くことが最優先。
アシは包丁を両手で持ち、老人に突進していった。
老人は驚いたが、ひらりとアシを避け、気付けばアシの包丁を自分の手におさめていた。
アシは突進した勢いで壁にぶつかり、手元に包丁がないことに、己を守る武器がないことに絶望し、また叫ぶ。
そんなアシを老人は悲しげな瞳で見、そして懐から棒のようなものを取り出し一振りする。
そうしたら、アシはぴたりととまり、静かに床へ伏せた。
老人はそっとアシに近づき、その体を抱き上げる。
幾日も食事をろくに取ってないであろう体は細く、軽い。
腕には真新しい切り傷があり、先ほどの包丁で自ら切ったと考えられる。
窶れ、痩せ細り、精神を病んだ少女は何を脅え、何に畏怖し、恐怖しているのか。
ダンブルドアは痛々しい少女のために涙を一粒流し、現れたときと同様に煙のように少女と共に消えた。
2008/08/04
目が覚めたアシは、見たことのない場所にいた。
一瞬元の世界に戻れたのか、と胸が高鳴ったが、明らかに日本の建築物とは異なる高い天井に再び絶望した。
アシは寝かされているベットは知らないもので、どうして自分がこんな場所にいるのか急速に不安になっていく。
どきどきと動悸が始まり、脂汗が浮かぶ。呼吸も激しくなり、苦しい。
「あらあら!まあまあ!どうしたの、大丈夫?」
「っ!!!」
人の声がして、冗談抜きでアシの心臓が止まった。
振り返ると妙齢の女性がいて、ずんずんこちらに向かってくる。
それがたまらなく恐ろしくて、アシは思うように動かない強張った体で必死にベットから降り、逃げようと試みる。
けれどアシが逃げるより早く女性は足に近寄り、アシはひぃと悲鳴を上げ目を閉じる。
「そんなに怯えないで。大丈夫、ここはホグワーツよ」
女性の言葉はアシに届かない。
アシは只管に怯え、じりじりと後退り、いやいやと青ざめた顔で首を振るばかり。
女性は出来うる限りの優しい表情を作ったが、優しさに慣れていないアシはその顔ですら恐怖の対象だ。
震えの所為でかちかちと歯がなり、次第に目はうつろになっていく。
アシのあまりの怯えようにようやく異変を感じ取った女性は、きゅっと顔を引き締めた。
「安心しなさい、ここには貴方を傷つけるような人は誰もいません。いたとしても私が守ります。私はポンフリー。マダムポンフリーやポピーって呼ばれるわ」
それでもアシは頑なにポンフリーを拒絶し、仕舞には叫び始めた。
「いやあぁぁぁぁ!!ここはどこ、どこなの!!返して、あたしをかえしてよぉぉぉおおぉ!!」
「落ち着いて、大丈夫、ここはホグワーツよ、もう大丈夫なの」
「いやっ!!触らないで!はなして、いやぁぁぁ!」
ポンフリーがアシを宥めようと手を伸ばすが、アシはそれを拒絶する。
がり、と伸びた爪がポンフリーの掌を傷つけポンフリーは一瞬顔をしかめたが、それでも笑顔を取りつくろう。
「知らないっ!ここは知らない!!あたしは誰!あたしは、誰なの!!」
もはや錯乱とも呼べる状態に入ったアシに、ポンフリーは杖をふるった。
するとアシはふっと事切れたようにその場に倒れこんだ。
ポンフリーは倒れて目を閉じている足に駆けより、そっと抱き締める。
服の上からでもわかるアシの窶れ具合に悲痛に顔をゆがめ、ごめんなさい、と呟いた。
「でも、私がきっとあなたを救います」
2009/07/21
アシがホグワーツへやってきて五年。
ポンフリーが泣きながらご飯を食べて、自分を傷つけないで、と懇願するようになった最初の一週間。
叫び泣き続けた最初の一か月。
脱走を試みて魔法の世界を見てしまい、錯乱した半年。
総てを拒絶し沈黙した一年目。
諦め静かに泣き続けた二年目。
アシの特別室という名の保護室を与えられた三年目。
保護室の中で一人暮した四年目。
五年目も、何も変わらないはずだった。
2009/07/21
ここまでしか書いてなかった。
おぼろげに覚えているのは、親世代連載であること。この後出会うハリポタキャラはセブルスということくらい。後に日本人キャラ(たぶんオリキャラ)が出てきて、盲目的に懐いて―――ってな予定だったはず。それしか覚えてないや。
≪ アウトドア派 | | HOME | | あとむいか ≫ |