KLMは始まりのABC、終りのXYZの中間に位置する途中経過という意味です。 でも、理系の管理人なのでK殻L殻M殻という意味もあります。
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森の中に人が倒れてた。
死んではいないと思うけど、うごかない。
とりあえず、雨宿りに使ってる大きな木のうろまで引っ張ってきた。
寒くないように葉っぱを沢山引いて、沢山かけて、ぎゅって抱きしめて一緒に眠った。
人は冷たかった。
目が覚めた。
人はまだ起きてない。
でも、冷たかったのが普通くらいになってた。
落ちた葉っぱをまた盛って、そういえばとリュックの中にひざかけがあったからそれも巻いて、またぎゅっと抱きしめた。
人は生ぬるくてかたい。
怪我でもしてるんだろうか、それとも単に衰弱してるだけ?と思ったけど、思ったところでどうする事も出来ないから考えるのをやめた。
死なないでほしいなぁ、ぼんやりと思った。
人を抱きながらぼんやりしてると、人がちょっとだけ動いた。
よかった、ちゃんと生きてる。
ぎゅって抱きしめて、ゆらゆらゆれる。
「ん…」
ゆっくりと、目が開く。
よかった、と思った。
「だ、れだ…」
「大丈夫。だいじょうぶ。ここはわたししかいないから、だから大丈夫」
ぎらりと睨みつけられたけど、恐くない。
ゆらゆら揺れて、とんとんと背中を叩いて抱き締めなおすと、また人は眠りに落ちた。
うん、生きてる、大丈夫。
*
「おきた?」
「あんた、誰?」
「誰でもないよ。へいき?しんどくない?痛くない?」
「ここは、どこだ」
「山の中。あ、動いちゃだめ」
人がゆらゆらおき上がろうとすると、布団代わりにしてた落ち葉がゆっくりと崩れおちる。
わたしはぎゅっと強く人を抱きしめて、動きを制御する。
弱っている人は、わたしなんかの拘束でも身動きが取れなくなった。
じろりと睨まれたけど、離してあげない。
とんとんと背中を叩いてあげる。
どうせ動けないんだから、動かなくていいんだよ。
ゆっくりゆっくり、そうしていけば必ず回復するからね。
だから、今はおとなしくしてよう?
「だいじょうぶ、だいじょうぶ、こわくない」
「……あんた、誰?」
「誰でもないよ。名前、覚えてるけど使わないし。きみは?」
「………」
「いいよ、いいよ、名前なんて。大丈夫、名前なんてなくても、きみが治るまで守ってあげるから」
わたしはぎゅっと人を抱きなおして、頭に頬を寄せた。
人とは、もちろん佐助です。
この後何かと逃げ出そうとする佐助と、それを見つけてまだ寝てないと、といって引き戻す主人公の押し問答がしばらく続きます。
「だめー、まだ治ってないから安静ー」
「もう帰らなきゃ、旦那が心配してるって!」
「でも、まだ治ってないでしょ?」
「なおった、なおった!」
「うそー。まだ治ってない。足ふらふらしてるよー」
最初こそ警戒心ばりばりだった佐助ですが、主人公の胸の中でにんまりしてころっと落ちます。(だって佐助だから)
「ねぇ、なんでこんなところに一人でいるの?」
「んー、なんでだろー。知らないー」
「知らないって、じゃあどうやってここまで来たのさ」
「さぁー。気づけば、ここにいた。なんにもわかんないから、もうここにいることにしたのー」
楽天家主人公。
間延びした口調、ちょい舌ッ足らずな感じで、漢字変換が少ない。
臨機応変、環境が変わっても対して違和感を感じずいち早く馴染む素晴らしい子。
「ばいばい、元気でね」
ここで終わるか、佐助が惚れて城へ連れて帰るかはどうしようか悩み中。
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