KLMは始まりのABC、終りのXYZの中間に位置する途中経過という意味です。 でも、理系の管理人なのでK殻L殻M殻という意味もあります。
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波に乗りに乗って艦これをやってます。
非常に楽しいです。
そんなわけで前回のふりーの続きで、怜ちゃんのターンです。
ヒロインちゃんの名前:岩井千枝実
部活動をしていると、運動場の横を岩井さんが横切った。
竜ヶ崎、と呼ばれて、慌てて意識をそちらに集中させる。
目の前には棒高跳びのバー。足元は助走路。ユニフォームが汗を吸う。
助走の歩数、走る速さ、跳躍の瞬間のキック力。ポールを持つ位置、出すタイミング、ボックスへの入射角度。
理論があり、そこに自分をあてはめて計算する。
美しい数式と理論が、バーの先に待っている。
すべてを計算して、息を止めて走り出した。
*
「昨日、竜ヶ崎が飛んでる姿を見たよ」
「そうですか」
椅子を回転させて座るということを知らないのか、足を開いて背もたれをまたぐように座る。
注意する気はないが、少しは恥じらいを持った方がいいと思う。
つい先日告白まがいのものをされたものの、特に恋人らしい何かを要求されたことはない。
彼女は自分のことを好きではないと言っていたので、まぁ当然だろう。
好きでもない相手に何をしたいのだろう、彼女は。
そもそも、なぜ好きでもない相手に付き合ってと要求し、周囲に生徒がいる昼休みの教室で……き、キスなんてしてきたのか。
彼女は自分、この竜ヶ崎怜の何を知っているのだろう。
何をどう思ってキスをしたのだろう。
逆に自分は彼女の何を知っているだろう。
岩井千枝実
前の席の女子生徒
それだけしか知らない。
そういえば結局、付き合うことになったのだろうか。
自分と彼女は今、どのような関係なのだろう。
「竜ヶ崎の飛んでるとこ、はじめて見たけど綺麗だった」
「今まで竜ヶ崎の理論とか計算が好きじゃなかったけど」
「あれが理論で計算の答えなら、少しはそういう理想論もいいなって思ったよ」
特に微笑まれたわけでも、ましてやキスされたわけでもないのに。
何かがごとりと動いた。
「岩井さんは何か部活動をしてますか?」
「してない」
「今日の放課後、何か用事はありますか?」
「特にないけど、強いて言うならドラマの再放送を見たい」
「だったら、僕の部活が終わるまで図書館でもどこでも暇つぶしをしておいてください。一緒に帰りましょう」
「えぇー、ドラマ…」
「付き合えと言ったのは岩井さんなんですから、少しはそれらしくしようというこちらからの提案を蹴るつもりですか」
「ちぇー、しょうがないなぁ。わかった、待つよ」
まだ未練がましくドラマ…とぶつくさいう彼女をしり目に、どこか達成感を感じた。
前回のやり取りでうまくしてやられた感があったので、今度はこちらからいかせてもらう。
とりあえず、彼女のことを知ろう。
彼女がどうして自分と付き合おうと思ったのかを知りたい。
まずは情報を集めないと、理論の組み立てようもない。
「付き合うって言ったけど、なんかめんどくさいね」
「あ、貴方という人は…!」
こちらは真剣に付き合おうとしているのに!
2013/08/03
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