「コビー」
「は、はいっ！」
「元居た場所に返してきなさい」
ビッと扉を指さされるも、ガープは当の昔に出航している。
コビーがガープから頼まれた伝言はたった一言。これを言えば琴里が激高することはわかっているが、言わなければ何も始まらない。
意を決して、コビーはガープの言葉を一言違わず復唱する。
「ガープ中将がっ“任せた”と！」
その言葉を聞いた瞬間、琴里は自身の机を叩き割った。
あからさまな怒気を感じて、コビーと、その横にいる海兵がヒェッと慄く。
そして琴里が睨むように二人を見るものだから、あまりの恐怖に二人抱き合ってその場にへたり込んでしまった。
怒れる琴里は瓦礫となったテーブルの残骸の中から、かろうじて生きている電伝虫を拾い上げ、受話器を上げる。
何度も何度も何度も何度も、いい加減頭にきた。
「ちょっとパパ！なんでもかんでもあたしに押し付けるのいい加減にして！！」
最初はエース、次にルフィ。そしてコビーに、また新兵。
赤ん坊だったエースを預けられ、猛抗議したものの押し切られ、ルフィはエースを育てている最中だったのでついでにと押し付けられた。
ようやく子育てが終わって仕事に従事できると思っていた矢先に、押し付けられたのがコビーだ。
子供を育てる以外他人と係わってこなかった琴里としては、接し方すらわからない。上司と部下、サカズキと己の関係を再現しようと四苦八苦していたところ、これだ。
もしかして、また一からコビーと同じことを教えなければいけないのだろうか。
一から？最初から？今までやってきたことを全部？考えたところで、プチっと堪忍袋の緒が切れる音がした。
「自分で面倒見切れないものは拾わない！あたし言ったよね！？」
いくら覇気を交えた所で、音声越しのガープには伝わらない。
部屋にいる新米海兵が震え上がるばかりだ。
『お前が面倒見たらえぇだけじゃろ』
「無責任に拾ってこないでって言ってるでしょ！？」
『上官なんだから、しっかり面倒見るように』
「嫌だからね、今度はもう絶対嫌だからね！！」
『琴里少将、将官として部下を持つことは必須のはずじゃが？』
その一言に、琴里はうっと詰まる。
～中略～
「コビーがいるもん」
『アホ、コビーしかおらんじゃろうが』
「じゃあ、適当に見繕って部下作るもん」
『そんな事せんでも、そこにおるだろ』
「やだっ！育てる必要ないのがいい！！」
『新兵の育成も上に立つ者の仕事だ、諦めろ』
「もーやだー！なんで毎回毎回押し付けられなきゃいけないのー！！！」
ぎゃーん！と琴里が喚くも、電伝虫からは笑い声しか聞こえない。
腹が立って受話器をぶん投げたが、訓練された電伝虫が受話器をキャッチし、通話を終了させる。そしてのそのそと物陰へ隠れにいった。
高ぶった気をなんとか落ち着かせ、ようやく琴里はコビーの隣に立つ海兵を見た。
現実を認めたくなかったが、こうなってしまっては仕方がない。
「名は」
「へ、ヘルメッポであります！！」
「佐官か」
「いえ、親の七光りで買った地位です」
そんな感じでヘルメッポも引き取ることになったおかーさんでした。ちゃんちゃん。
おかーさんの所属変更CP-9→サカズキの部下
CP-9のことを民衆を裁く機関だと思ってたのですが、調べるうちに思ってたのと違った(海軍ではなく政府所属という点・諜報が主という点・原作軸でプルトンの収集にかかわっている点)ので、所属変更。もう考えるの面倒になったので、サカズキさんの部下で。でも、戦場でロブ・ルッチと共闘はしたことありそう。
おかーさん：正義の為に海賊は皆殺し
ロブルッチ：正義の為に不要な者は皆殺し
似ているようでちょっと違うお互いの主義。書いたことないけど、おかーさんは命令があれば誰だって殺す。だけど、命令がなかったら海賊以外は殺さない。そういう感じ。海軍所属と政府所属で根本的に違うところもある。
ルッチ書かなくとも本編は回るな、よし！でも書きたいからそのうち書く。本編？そのうちね！！
