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KLM

KLMは始まりのABC、終りのXYZの中間に位置する途中経過という意味です。 でも、理系の管理人なのでK殻L殻M殻という意味もあります。

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たぶんこれで更新終わり

北さんの出てこない北さんのお話
with 宮



「ハァー、北さんめっちゃかっこいい」
「ほんまそれな」
「なんで世の中宮なの、宮より絶対北さんでしょ」
「北さんもかっこえぇけど、俺がイケメンなんも事実やし」

夏休み、補習が被った宮と汗だくになりながらお弁当を食べる。宮以外知り合いがいないとか、わたしの交友関係もたかが知れてると涙がちょちょぎれそうだ。
午前中ずっと教室にカンヅメだったので、開放感を求めて屋上に来たのが間違いだった。陽炎揺蕩う灼熱の屋上は、人が過ごせる場所じゃない。ドアを開けた時の熱気がヤバかった。けど、たまに吹く風の気持ちよさに騙されて、給水塔の陰に座ってお弁当を広げた。

「そんな好きやったらコクればえーやん」
「は?宮バカなの?ごめんバカだった」
「ふざけんな、お前のがアホやろ。アホ」

あまりにも宮がうるさかったのと、暑くてやってられない八つ当たりで宮の脛を蹴った。仕返しとして横っ腹どつかれた。なんでこんな雑な宮がモテるのか。絶対北さんの方が美人だしクールだし礼儀を重んじるし、ステキなのに。ケラケラ笑う宮に腹が立って、お弁当箱の中から唐揚げをかっさらってやった。お前ふざけんなとガチギレされので、冷凍のハンバーグを提供した。器のちっちゃい奴め。北さんは絶対唐揚げ一個で怒ったりしない。

「いやだって、なんでフられて泣く未来のために頑張らないといけないの?」
「いやいや、フられんために頑張るんやろ」
「いやいやいや、北さんだよ?無理に決まってんじゃん」
「まぁ、お前では無理やな」

また蹴ってやろうかと思ったけど、お弁当ひっくりかえしたら嫌なのでやめておいた。暑さにやられて、動くのが億劫だ。実際問題、北さんと付き合えたらなんて夢を見るけど、実現させようなんて気はさらさらない。こうして憧れているだけで幸せだ、なんて気取ったこと言うつもりはない。ただ、夢は見ているうちが一番楽しいことを知っている。北さん、北さん。わたしの夢の中の北さん。わたしだけの理想の北さん。現実の北さんなんて、どうせ一生手が届かないんだから。万が一、億が一、まかり間違って北さんと付き合えたとして、北さんの嫌なところを見つけたくない、嫌いになんてなりたくない。だからわたしは、北さんにただ憧れるだけなのだ。
なんとかお弁当を食べきって、水筒のお茶をがぶ飲みする。こんな暑さでも魔法瓶の中の氷は溶けずにカラカラと音を立てて、麦茶を冷やしていた。冷たすぎて、少し頭が痛くなる。

「北さんカッコイイ」
「部活ん時の北さんヤバいで」
「ずるい、わたしも男になってバレー部入る」
「そこでマネージャーやる言わんだけ、お前を評価したるわ」
「なんで」
「男目当てでマネージャーとか、ホンマ無理」

心底嫌そうに言うので、何か嫌なことがあったのだろう。宮も顔だけはいいもんな。
マネージャーと選手との色恋とか、そんなの憧れるに決まってる。めちゃくちゃ青春って感じするし。同時に、選手とマネが付き合ってると周りが気を使いそう。もし他にマネの事が好きな選手がいたりしたら最悪じゃん。やっぱり部活内は恋愛禁止が無難だ。
うだるような暑さに限界を感じて、お弁当箱を持って立ち上がる。締め切った教室は息がつまりそうだったけど、クーラーが効いてて涼しかった。

「ねぇ、クソ暑いからそろそろ教室もどんない?汗ヤバいんだけど」
「せやな。あー、午後だる…」
「次、寝たら怒られる奴だよ」
「教員連中も最悪な時間割組みよるな」
「そりゃ、夏休みに補習受けるような生徒の補習だし、先生も本気出してんじゃないの」

もう一度水筒に口を付けるけど、カラカラと氷の音がするばかりでお茶はない。次の休み時間にでも自販機に何か買いに行くかな、と財布の中身を思い出す。

「あーあ、補習かったるー。さっさと終わらせてスタバの新作のみたーい」
「サボって部活行きたいけど、それやったら先生と北さん両方からドヤされるからしゃーなしやわ」
「え、北さんに怒られるとかご褒美じゃん?」
「うわキモッ」
「これが恋心よ、恋心。ごめん、宮童貞だっけ?わかんないかー!」
「ア?お前も処女やろが」
「女の処女は価値があるけど、男の童貞はモテない証拠みたいなもんでしょ」
「残念でした、俺はモテモテですぅー」
「ハッ、彼女作ってから言えや童貞」
「なんやとクソ女」


酷暑の中で陽炎を吐く
現実?こうして理想を喋ってる方がずっと楽しい。
2019.05.29
なんかもっと気怠い感じに書きたかったのに、そうでもない…。むしろ元気すぎ…。宮くんは補習受ける程ひどい成績ではなさそう。

以下、こんなオチにしようと思ったけどうまいこといかなかった。

「なんや、侑彼女おったんか。邪魔したな」
(全然そんなつもりないけどなんだかいやらしく見えることを二人が偶然やってしまって、北さんが見てしまったらしい)

「嘘でしょ」
「マジかい」

「最悪っ…!」
「こっちのセリフじゃボケ!」
「責任取ってよ!」
「何の責任やねん!」
「責任取って北さんにちゃんと説明しといてってこと!腐ってもあんたと付き合ったりしないから」
「こっちかてお前なんぞ願いさげや、アホ」
「バーーーーカ」
「死ね」
「北さんに言って貰えたら、ちょっとは考えるのに」
「お前ホンマきっしょいな」
「北さんんんんん、わたしは北さんが好きなんですぅぅぅ。こんなチャラいバカでじゃなくってぇぇぇ」

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