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KLM

KLMは始まりのABC、終りのXYZの中間に位置する途中経過という意味です。 でも、理系の管理人なのでK殻L殻M殻という意味もあります。

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お子さま行進曲 子時代マルコ誕生日編


 


(コトリコトリ)

「にゃ?」

 

小さな声で呼ばれて、琴里は辺りを見回す。
すると、柱の陰からサッチが人差指を口に当てながら手招きしていた。
なんだろうと、琴里もそろりとサッチに近づく。

 

(なになに!)

(ここじゃまずい、俺の部屋いくぞ)

(あいさー!)

 

*

 

サッチの部屋も結構綺麗だ。
机の上は羊皮紙や羽ペンやらメモ書きが散らかっていて、床にも幾らか本が積み重なっているが、この船の他の連中に比べたら断然綺麗だ。
部屋を見回しながら琴里は少しぐしゃぐしゃのベットの上に座り、なぁにー、と口を開く。
サッチはシャツのかかったイスを引き、それに座って琴里と向き合う。

 

「明日はマルコの誕生日だ」

「はいっ!」

「発言を許す!」

「たんじょーびってなに!」

「そこからか!!!」

 

マルコが琴里は馬鹿だ馬鹿だ馬鹿だ阿呆だと散々ため息をついていたが、サッチは単なる親馬鹿からくる愛情の裏返しだと思っていたが。
まさか、本物のバカだったなんて。
いや、そういえば琴里は随分と言葉を知らない。
マナーも礼儀も、日常生活のことさえわかっていない。
本当に今の今までどんな辺境の地で育ってきたのかと嘆息する。
そして、常に一緒にいるマルコの苦労を少し垣間見た気がした。

サッチは誕生日とは生まれた日でめでたい日だということを琴里に説明した。
ついでに琴里の誕生日を聞いてみると、知らないという。
琴里は拾われっ子だし、誕生日なんて誰も気にしなかったらしい。
とことん哀れな星のもとに生まれついた子供だ。

 


「へぇ、うまれたひっておめでたい?」

「そりゃな。生まれたからこそ、今こうして生きてんだ。お前もマルコが好きだろ?生まれてなかったら会えもしなかったんだぞ」

「うぉぉ、マルコがうまれてきてよかった!」

「だろ?だから、生まれてきてくれてありがとう。前の誕生日から1年間無事でよかったね、おめでとうってわけだ」

「おー!!マルコありがとう、おめでとう!!!」

 

なんとか誕生日の意味と意義を説明できたことにサッチは満足しかけたが、それは本題の前置きだったということを思い出した。
そうだそうだ、なんだか説明だけで随分時間がかかってしまったが、本題はこれからだ。

 

「だからコトリ、明日はマルコの誕生日祝いの宴をするぞ。お前も手伝え」

「わーい!琴里もマルコのおいわいするっ!!!」

 

 

 

最近サッチ贔屓な気がする。
2010/10/05

 

 

 

 


そわそわそわそわ。
そわそわそわそわそわそわ。
ちょろちょろちょろ。
うろちょろうろちょろ。

 

「コトリ」

「な、なんだ!?」

「うっとおしい」

「きょ、きょうもいいてんき!」

「わけわかんねぇし。腹減ったならサッチになんか作ってもらえ。俺はなんももっちゃいねぇよい」

「ち、ちがう!いや、ちがくない!」

「どっちだよい」

 

そわそわそわそわ。
そわそわそわそわそわそわ。
ちょろちょろちょろ。
うろちょろうろちょろ。

 

 

 

今日はなんかある日だったか…あ、俺の誕生日か。それは関係ねぇか。
2010/10/05

 

 

 

 


「「「「「 マルコおたんじょうびおめでとー!!! 」」」」」

 

その日の夕食にマルコが食堂にやってきたら、これだった。
これが子供同士の誕生パーティなら可愛いだろうが、むさくるしい野郎ばかりでは気色悪いだけだ。
飾り付けはこないだの戦利品だろうか。
金銀宝石がきらめいてとても豪華だが、ちと豪華過ぎないだろうか。
装飾品に船内の内装が負けていて、浮いている。
というか、親父もよくこんなの許したなと呆れるばかりだ。
ただ、テーブルの上にたっぷり盛られた料理と多種多様な酒には悪い気はしない。

 

「おめでとうって歳でもねぇんだけどな。ま、ありがとよい」

 

ぺそぺそとサンダルが奏でる貧弱な足音を鳴らしながら、テーブルに置かれていたジョッキを持つ。
近くに置いてあった一等物の赤ワインのコルクを歯で抜き、惜しげもなく注いだ。
そしてそれを勢い良く掲げ叫ぶ。

 

「乾杯!!!!」

 

 

 

 


なんだかんだで嬉しくて騒ぎたいマルコ。
2010/10/05

 

 

 

 

 

「マルコー!!!おっめでとおおおお!!!」

 

がばちょ。
どこからともなく現れた琴里は猛ダッシュでマルコの顔面に飛び付いた。
ぐきっといい音が響くが、周りの喧噪にかき消されてそれを目の前で見ていたサッチ以下数名以外気づいたものは少ない。
最早マルコの顔面ではなく丸まった琴里がマルコの顔の位置にあるだけになっている。
ぐぐぐと首の筋力だけで持ち直したマルコは、べりっとくっついていた琴里を剥がした。
ジョッキに入っていたのはビールだったはずなのだが、並々注がれていたはずのそれは綺麗にマルコの服にかかってシミを作っている。

 

「お、ま、え、は…!!!」

「おめでとーマルコ!ありがとーマルコ!!」

「いやそれよりもまずお前は俺に謝罪しろい」

「すまんマルコ!」

「それはそれで腹立つな…」

 

マルコにつまみあげられたままの状態で琴里は片手をあげてきりっと謝ったが、あまり誠意が感じられなかった。
ため息をつくマルコをよそに、ひょいとマルコの手から飛び降りた琴里はマルコの濡れていない方の膝に乗りいつもより豪勢な食事に目を輝かせる。
マルコの膝によじ登り、最近覚えたフォークで目の前にあった薄いローストビーフを刺して切らずにべろんと持ち上げた。
てっきりそのまま自分の口に運ぶものだとばかり思っていたら、マルコの目の前にソースをぼたぼた零しながら肉がやってきた。

 

「マルコ、あーん!」

 

驚いた、食事中に他人に気を使うことがいつの間にか出来るようになってたらしい。
膝に座ったまま、ぐいぐいと肉を押しつけてくる。
そのたびにソースがマルコの服にかかるが、すでにビールまみれなので今更気にしても仕方ない。
口にするには大きすぎる肉にかぶりついてやると、うへへと嬉しそうな声が聞こえた。
視線をあげると、やたら微笑ましそうに笑うサッチ。
なんか腹立つ。
とりあえず祝ってくれているらしい琴里の頭を撫でながら、口いっぱいに入っている肉の咀嚼に勤しんだ。

 

「あーん!」

「もご、や、まだ食ってる。もぐ、お前も食っとけ。うめぇぞ」

「きょうはマルコおめでとーのひ!」

 

だから自分は食べないとでも言いたいのか。
こうして祝ってくれるのは嬉しいが、琴里が夕食を食べ逃してしまってはいけない。
自分からは食べなさそうなので、適当な大きさに切った料理を同じくフォークで与えてやる。
素直に食いついた。
なんだかんだ言って腹が減っていたらしい。
すぐ食べ終わってまたぱかっと口を開く。
そこにまた食べ物を運んでやる。
以下繰り返すこと数回。

 

「はっ!おいしいけどなにかがちがう!!」

「違わねぇよい、ありがとな」

「もぐ。マルコおたんじょーびおめでとう!?」

「へいへい。ほれ、もっと食え」

「もぐもぐもぐ」

 

 

 

 

2010/10/05

 

 

 

 

 

大人たちはまだまだこれからな時間だが、琴里はそろそろ寝る時間になってきた。
とはいっても、いつもより随分と遅い時間だ。
メインディッシュと呼ばれるような料理の大半は姿を消し、かわりにつまみがテーブルを占領するようになってきた。
琴里は他の連中と騒いでいるが、マルコが名前を呼ぶか呼ばないかの所でマルコの所に戻ってきた。

 

「なになになに、琴里にようじ!?きょうは琴里なんでもするよ!!」

「コトリ、お前そろそろ部屋戻れ」

「んー、うん、そーするっ!」

 

ここらへん意外と聞き分けのいい琴里は、素直にうなずいた。
そして、正面からマルコの首にぎゅっと抱きつく。

 

「えへへー、マルコ、おたんじょうびおめでとう!」

「おう、ありがとな」

「うまれてきてくれて、ありがとう!!」

 

不覚にも鼻の奥がつんとしたマルコだった。

 

 

 


2010/10/05

 

 

 

 

 

「それとね!」

「ちゅっ!」

「おやすみ!!!!」

 

 


2010/10/05


と、ゆーわけでマルコ誕生日おめでとう!!
もう本当にgdgdでごめんね、でも愛してる!
誕生日なのに世話役に徹しさせてごめんね!でも愛してる!!



「…………誰だあいつにあんなこと教え込んだ奴」



突然のことに色々頭がついていかないマルコですが、そこだけが気になったようです。
酒に酔ったのとの相乗効果で滅多に酔わないマルコさんが耳まで赤くしてたって!
まうすとぅーまうすだったらしいよ!
主人公これをいつやろうかほんとにやるのかやったらマルコ喜ぶかなぁとそわそわしてました。
そしてひゃー、くちすいしちゃったよ、ひゃー、おとなぁー!って部屋でテレテレしてたみたいです。
実は主人公この頃から深層心理的にマルコのこと好きだったみたいだね!
気づくのおっそいね!

それでは、無駄にぐだぐだしてしまいましたがこれにて本当に終了!
マルコお誕生日おめでとう、愛してる!

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