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KLM

KLMは始まりのABC、終りのXYZの中間に位置する途中経過という意味です。 でも、理系の管理人なのでK殻L殻M殻という意味もあります。

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お子さま行進曲 マルコ編その7


 

 

マルコに会ってね、いつもどおり抱きついたら甘い匂いがしてね、そういえば昨日の夜女の人とホテルに入ってったなって思ってね、それでね、それで。

琴里の歪んだ顔を見て、おそらくそんな自分に気づいていないであろう琴里を見て、サッチは得心がいった。
なぜ琴里が元気がなくなったのか。

確かめなくてはならない。

 

「コトリ」

「うん?」

「マルコが他の女といて悲しかったか?」

「悲しいというよりも…違う、なんだろう」

「よく考えろ」

 

目を閉じて、琴里はまたテーブルの上に伏せた。
サッチは焦らず、一口自分のホットミルクを口に含んでじっくりと琴里の返事を待つ。

マルコから知らない匂いがすることはあった。
それは随分昔のことで、琴里がまだ子供だった頃だったような気がする。
大きくなってからは、あまりなかった。
今回久々にそれがあって、それがどういうことなのかわかるようになってて、女の人とやらしいことをした後で、つまり、えぇと。

 

「わかんない」

「考えろ。コトリ、これは考えて答えを出すべきものだ。例えば、俺が女とヤッたのを見てどう思う?」

「またかぁって思う」

「マルコは?」

「マルコは………」

 

マルコが、女の人といて、知らない匂いをさせていて、それはやらしいことをした後で。

 

「さびしい」

 

 

 

2010/10/02

 

 

 

 

 

寂しい。
そうだ、寂しかったんだ。
マルコがまるで知らない人みたいで。
琴里の知らないマルコみたいで。
いつも一緒にいたのに、女の人のことなどまるで匂わせなかったのに。
それが急に、こんなことになってしまって。
マルコはずっと一緒にいて、知らないことなんてないと思ってた。
それなのに、あの日見たマルコは琴里の知らないマルコだった。
それが、寂しくて、マルコが遠くに行ってしまったみたいで、寂しかった。

 

「どうしよう、マルコが、琴里をおいていっちゃう…」

「マルコと一緒にいたいか?」

「琴里、マルコと一緒がいい。離れるなんて、やだ」

「でも、マルコもいつか好きな奴ができるかもしれねぇぜ?ほら、こないだもナースのヘレンが好きな奴出来たって船降りただろ」

「マルコは、隊長だから、そんなこと、しない、よ」

 

想像してみて悲しくなった。
もしマルコが船を降りたら、琴里は寂しくて死んでしまうかもしれない。
好きな人がいて、両思いなら祝福する。
おめでとうって、笑っていえる。
でも、マルコと知らない女の人が幸せそうに笑っている中に、琴里はいない。
マルコのそばにいるのは琴里じゃない。
琴里は一人、マルコを見てる。

 

「なんで泣くんだよ」

「琴里、ずっとマルコと一緒にいたい。でも、マルコには好きな人が出来て、二人でいて、そこに琴里はいない」

「そりゃそうだろ。第一お前ももう子供じゃねぇんだ、マルコがいないくらいで寂しいとか言ってんじゃねぇよ。エースがいるだろ、エースが」

 

そうだ、船には仲間、家族がいる。
エースだってサッチだって、ジョズやビスタや、親父様だっている。
寂しいことなんて何もないのに。
あれ、どうしてだろう。
ふと流れてた涙が止まる。

 

「そうだよね、みんないるよね」

「おう、俺もいるぜ」

「みんなはずっといるよね?」

「たぶんな」

 

いつもみたいに、エースと喧嘩して、サッチに美味しいご飯作ってもらって、ジョズに肩車してもらって、ビスタと一緒に刀磨いて。
親父様の上で日向ぼっこしてそのまま眠って。
いつもどおりの、楽しい日常で。
でも、マルコはない。
その事実だけが琴里に重くのしかかる。
止まった涙が、また、流れ出す。

 

「それでも、マルコがいなくちゃいやだよ、寂しいよ」

 

 

 

 


2010/10/02

 

 

 

 

 


「俺じゃ役不足か?俺じゃなくても、エースや親父がいるだけじゃダメなのか?」」

「ごめん、琴里、マルコがいい。マルコが一番だいじ」

 

出来るのなら、マルコとずっと一緒がいい。
マルコが他の誰かといたら寂しい。
マルコがいないなんて考えられない。
琴里は、琴里は、

 

「琴里は、マルコがすきなんだ」

 

 

 


2010/10/02

 

 

 

 

 


サッチは知りたかった。
琴里がマルコのことをどう思っているのか。
他人以上にマルコによく懐いていたのは知っていた。
ただ、それが親子愛ならこれを機に巣立たせるのも悪くないと思った。
マルコには悪いが、琴里は琴里で好きな奴を見つけて幸せになってほしい。
でも、もしも相手がマルコなら。
応援してやろうじゃないか。

 

「一応聞いとくが、それはどういう好きなんだ?お前、大昔親父と結婚するとか言ってたじゃねぇか」

「うん、親父様は好き。でも、マルコはもっと違う好き」

「そうか。お前も言っちょ前に好きな男が出来たんだな」

「うひひ、琴里、大人の階段登った」

 

ここ数日の悩みが解決されたらしい琴里は、涙の痕を残しながらもようやく笑った。

 

「琴里はマルコが好き。うん、うん!」

「はぁ、なぁんかそれはそれで寂しいな。コトリ、サッチおじさんも好きになんねぇ?」

「サッチも好き!でも、マルコのが好き!!」

 

 

 

 

2010/10/02


これで一区切り付きました。
サッチは聞き上手!
ここからまた奮闘する主人公です。初恋なのでぎくしゃくしまくりです。
ふと思い立って過去ログを見てきたのですが、わたし調子に乗って書き過ぎだ^^^^^^
だって楽しいもん^^
たぶんうまい具合に完結したら、3ヶ月くらい限定でサイト復活します。
マルコマルコマルコ^^^^^^^^^^^^^
 

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