KLMは始まりのABC、終りのXYZの中間に位置する途中経過という意味です。 でも、理系の管理人なのでK殻L殻M殻という意味もあります。
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このちょうしで、この部分だけでも書きあげたいなぁ。
風はなかった。
だから砂塵が舞う事も塵がかさかさと流れることもない。
相変わらず殺風景で飾り気一つない風景は、来た時と相違なかった。
結局折れたクロロがクランチェスカにされるがまま表に引っ張り出され、彼の言う “闘い” をしようということになった。
ルールはクランチェスカが決めたとおり、“クロロの発である盗賊の極意使用禁止” それだけではハンデが軽すぎる、とクロロは更に “クロロの攻撃の一切を禁じる” と言ったのだが、それはクランチェスカが頷かなかった。
「ダメ。それじゃあ、戦いにならない。いくらボクが弱くても、それじゃあお遊びだよ。ダメ、攻撃はしてもらう。なんのための戦いだと思ってるの。クロロ、言っておくけど、これはお遊びなんかじゃないよ?手ぇ抜いたら承知しないから。殺す覚悟で来てよ、じゃなきゃ、意味がない。そう、ボクを殺して、殺すの、ボクを。クロロ、わかった?戦いと銘打っては見たものの、これは一方的な殺戮なの。クロロがボクをただ殺すだけの、それだけのことなの。わかった?わかったなら、本気できてよ」
「そんなことしてみろ、お前、瞬殺だ」
「わかってるよ。だから、程よく調整しながらね」
「手を抜くなと言ったのはどこのどいつだ」
「あからさまに勝利を譲られたってつまらないってこと。やだな、本ばっかり読んでるのに理解力ないの?」
はんっ、と鼻を鳴らすクランチェスカに、可愛げの欠片もない。
いつもと違う雰囲気に珍しい、と思いつつも、どうせいつもの気まぐれだろう、とクロロは自己完結し、コートのポケットに手を突っ込んだ。
そう、クランチェスカ。彼はいつも唐突に始まり、唐突に終わる。天災の様なものなのだ、気にしても仕方のない。
ならば相手にしてやろうではないか。少し遊んでやれば満足して、おとなしくなる。
力の差は歴然、うまい具合に体力を消耗させれば、三日はおとなしくなるかもしれない。
丁度いい、ここいらで格の違いってものを見せつけてやろう。
クロロは口角をあげ、目の前のクランチェスカを見据えた。
「かかって来い。ご所望通り散々傷めつけた後で殺してやろう」
「ありがとう」
思えば、彼が素直に礼を言ったのは初めてかもしれない。
2009/02/20
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