KLM

パパ、ママ、わたし。
三人で暮らしてた頃は、パパがママを打って、ママが泣きながらわたしを打って、わたしは泣いていることしかできなかった。

ママ、わたし。
パパがいなくなって、ママとわたしだけになった。
ママはずっと泣いて、わたしを打って、時々弱いわたしは怪我をしてしまって、そのせいでママは病院に入院することになった。

わたし。
わたし一人の生活が始まった。
生活保護を受けながら、バイトをしてママの入院費とわたしの生活費を稼いでる。
ママは、すっかりやつれてしまった。

わたし、ママ、あの人。
あの人を好きになってしまったわたしは、見事なまでにダメになってしまった。
あの人と一緒に居ようとすると、ママのお見舞いに行けなくなる。
ママのお見舞いに行くと、あの人と一緒に居られなくなる。

わたし。
わたしは、二人と一緒にいることにした。
ママのそばに居て、あの人とは同じ空の下でつながってる。
それが、一番だと思った。

ママ、幸せになって。
わたしはママの幸せを祈ります。
毎日、姿は見えないけど、一緒に居るから。
毎夜、夢で逢えたらいいな。
わたしはママを見てるし、傍にいる。
ママ、わたしを感じて。

ママ、泣きやんで。
わたしは傍にいるから。
ママを見捨てたわけじゃないから。
ママ、ママ、大丈夫だよ。

わたしは死んでしまったけど、ちゃんとママのそばにいるよ。
だから、泣かないで。

わたしはずっと、一緒にいるよ。
目に見えないけど、喋れないけど、ちゃんといるから。
ママのそばに。
そして、空を通じて、あの人と一緒に。