KLMは始まりのABC、終りのXYZの中間に位置する途中経過という意味です。 でも、理系の管理人なのでK殻L殻M殻という意味もあります。
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「黒田さんて、火曜日シフトはいってる?」
「え、入ってないけど」
深夜、ようやく泥酔した客をさばききり、魔リオがバイトとして働いている居酒屋が閉店となった。
眠いし疲れるのは当たり前で、酩酊した客のセクハラや無茶振りをかわし、トイレのゲロの始末から割れた皿の片づけまでなんでもこなすのだからまさに疲労困憊である。
その分時給がいいのでいつも深夜シフトを希望するが、時給と労働が見合っているかと聞かれれば甚だ疑問だ。
しかも更衣室はせまくて、三人着替えるのがやっとというありさま。
当然男女分かれているわけもなく、女子が更衣室で着替え、男子は外で着替えて更衣室に入るのを待っているという悲惨な現状だ。
同じく上がりの女子(この日は一人)と、疲れたねーといつも通りのお決まりな会話をしつつ、肩をぶつけながら着替える。
もはや頭は働かず、ぼーっとしつつエプロンを外し、上着にそでを通している最中だった。
「じゃあさ、サークルの飲み会あるんだけどきてみない?」
「さ、サークル?それってあれでしょ、大学とかの」
「そうそう。ちょうど新歓するから、黒田さん来ても全然オッケー」
突然のことに、眠気が吹っ飛んだ。
「でで、で、でもあたしサークルとか入らないわよ?」
「あー、いーのいーの、要するに単なる飲み会だから。そういえば黒田さんと飲んだことないなーと思って」
「飲み会…」
「あれ、黒田さんってお酒ダメ?」
「ううん、平気よ!お酒くらいどってことないわ!」
そう、じゃあきなよ。
魔リオ、本名黒田まり江。
あの学校では孤高の四年生として周囲に一目置かれ、
高校の友人らは地元を離れてから疎遠になり、
彼氏はおらず、
親しい友人さえ稀にメールをする程度。
バイトの子と会話するのをささやかな楽しみとしている哀れな二十歳。
人との触れ合いに飢えていた魔リオは、一も二もなくうなずいた。
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