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KLM

KLMは始まりのABC、終りのXYZの中間に位置する途中経過という意味です。 でも、理系の管理人なのでK殻L殻M殻という意味もあります。

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赤葦くん夢8

確か8載せてなかったよね?ダブってたらごめん。
木兎さんお世話係と赤葦くん本編その8と、9没案

デフォルト:桐崎 啓(きりさき あきら)





8.
桐崎さんマネージャーやってくれるって!?と、教室に勢いよくやってきたのは、バレーボール部マネージャーの雀田さんだった。突然すぎる出来事についていけず、どういうこと?と雀田さんの顔を見ていたら、木兎くんがわたしのかわりに勝手に返事をしていた。

「マジマジ。昨日桐崎バレー部入るつってたもん。な、桐崎!」
「そんなこと言ったっけ?」
「言っただろ、バレー部はいろっかなって」
「言った?」
「言ってた」

いまいち記憶にないけれど、きっと昨日のわたしはそんなことを言ってしまったのだろう。覆水盆に返らず。木兎くんに聞こえるように言ってしまったわたしが悪い。確かに、バレー部に入りたいなという思いはある。けれど、本気で部活に入ろうと思ってるわけじゃない。入りたいという思いはあるが、思うだけ。考えている間が一番楽しいのを知っている。だから、必死な目でこちらを見ている雀田さんには悪いが、木兎くんの早とちりという事で断らせてもらうしかない。例えマネージャーだろうと、わたしに運動部なんて荷が重い。

「えー、今日から1週間体験入部でマネージャーとしてお手伝いさせて頂く、桐崎啓です。宜しくお願いします」

なぜ、わたしはバレー部で挨拶をしているのだろう。大勢の整列したバレー部員の視線がわたしに集まり、逃げ出したい衝動に駆られる。
今朝、教室で雀田さんの勧誘を断る前に、木兎くんが「とりま今日から体験入部してみろよ」なんて言ったもんだから、雀田さんはわたしの意見を聞く前にわかった!と去ってしまったのだ。その後、雀田さんのクラスに体験入部を断りに行こうとしても、ひたすら木兎くんが邪魔をしてくる。木兎くんと熾烈な攻防を繰り返していたら、あっという間に放課後だった。

「桐崎先輩のフルネーム初めて聞いた気がします」
「確かに、名乗ったことなかったかも。2年の桐崎啓だよ、よろしく」
「赤葦京治です。覚えて下さいね」

マネージャー作業の合間、赤葦くんが挨拶に来てくれた。作業と言っても、今日のわたしの仕事は“見る”こと。マネージャーと言っても勝手がわからないだろうから、今日は取り敢えず自分たちの動きを見ていてほしい、と雀田さんに言われたので、彼女たちの働きを観察している。作業の合間合間に、今のはこういうことをしていたの。これをすることによって、こんなことにつながるの。と説明してくれるので、なるほどなぁ、とメモを取っていた。

「どうですか練習は」
「すごいよね。みーんなバレーやってる」
「そりゃ、バレー部なんで」

今までサッカー部の誰々がかっこいい、野球部の、バスケ部の、と運動部がいかにかっこいい。そういった話を友達から聞かされたことがあって、その時は対して興味を持たなかった。でも実際に目の当たりにすると、運動している男子というのは確かにかっこよく見えるものだ。

「俺は嬉しいですよ、桐崎先輩がマネージャーやってくれるの」
「そう言ってくれるのは嬉しいけど、わたし何もできないよ」
「最初から出来る人なんていません」
「わたし2年だし、1年遅れてる分ハンデがね」
「年下に教えを乞うのは嫌ですか?」
「そういうんじゃないの。1年遅れてる分、これからその1年分を取り戻す勢いで頑張らないと、申し訳ないなって」

でも、それだけ頑張れる気がしない。たった数週間、遊びでバレーをやっただけのわたしに、そこまでの情熱はない。放課後は遊びたいし、土日もゆっくりしたい。生活の全部を部活に捧げるなんて、やっぱりわたしには無理だ。

「桐崎先輩って、案外真面目なんですね」
「わたしはいつだって真面目だよ」

さて、どうやって断ろうか。


あんまり登場キャラを増やしたくなくて、木兎さん・赤葦くん以外はモノローグ会話になりがち。
2019.05.24

本編と裏とで主人公性格違くない?別々の話にする?
以下、8.9没案。なんか話のまとめに入って、木兎さんルートの可能性が出てきたので没。8.9.とナンバリング続いてるけど、特に関係ない。両方で没案が生まれただけ。

8.没案
そう言われれば、言ったような気がしなくもない。バレーの楽しさを知ったので、なんとなくバレーボール部に入ろうかなとは思っていた。ただ、2年生だし時期がなぁ、と気後れしていた。というより、運動部に入った事がないので、入りたいなと思うだけだったのに。女子のバレーボール部。
バレーボール部といえば、自分の所属している場所。木兎くんはそう信じて疑わないのだろう。わたしがバレーボール部に入りたいと言えば、自分のいる男子バレーボール部。男子バレーボール部だから、選手ではなくマネージャー。そうと決まれば善は急げ!と、雀田さんにわたしのことを話した、と。大筋はそんなところだろう。
わたしと木兎くんとの温度差に、雀田さんが事態を悟る。

「もしかして、木兎の早とちりな感じ?」
「そんな感じかな」
「そ、そっか。桐崎さんがマネージャーなってくれたらすごく助かるんだけど…」
「足手まといにしかなんないよ」

せっかくクラスまで来てくれたのに断るのは申し訳ない。けれど、みんな必死にやっている部活に一人のほほんと、ただバレーボールが楽しそうだからという理由だけで入部したのでは邪魔になるだけだ。ごめんね、と断ろうとしたのに。

「足手まといとか、やってみねーとわかんねーじゃん?とりま今日体験入部してみろよ」

じゃ、雀田そんな感じでヨロシク!
決定権はわたしにあるはずなのに、なぜか木兎くんが話をまとめる。雀田さんもどちらかといえば木兎くんの味方らしく、あ?そう?じゃあ準備して待ってるね、とわたしの意見を聞く前にとっとと去って行った。

「なんていうか、最近木兎くんわたしの扱い上手くなったよね」
「ナカヨシだろ、俺ら」
「お互いさまってことか」

わざわざ雀田さんのクラスまで行って断るのも面倒だし。バレーに興味を持ったのは本当だし。



9.没案 みんな大好きENDになりかけたから没
1週間はあっという間だった。2日目からは雀田さんや白福さんのマネをしてボール拾いやボール出しをやったり、ドリンクを作ったり、タオルを洗濯したり。スコアの付け方は難しいから、入部したらね、と言われた時は苦笑しか出来なかった。
雀田さんや白福さんと更衣室でバレーに全然関係のない事を話したり、帰り道木葉くんや猿杙くん、他のバレー部2年生と木兎くんについて話したり、たまに木兎くんと赤葦くんの練習に付き合ったり。振り返れば、楽しい1週間だった。

「なんでマネージャーになってくれないんですか」

1週間後、部活に顔を出さなくなったわたしに、赤葦くんが文句を言う。相変わらず昼休みのバレーは続いてるので、赤葦くんともしょっちゅう顔を合わせている。マネージャーを断った手前、会い辛いと思っていたのに、物怖じしない後輩だ。
桐崎先輩、とわたしの上達にあわせて、そこそこ早いボールが飛んでくる。

「そーだぞー。桐崎マネやりゃいーのに」
「真剣にやってる人たちの中、わたしみたいなのがいたら邪魔でしょ」

そんなことねーよ、と木兎くんも、マネマネとしつこく言い寄ってくる。もちろん他のバレー部の人たちもなんで辞めるの?と惜しんでくれたが、それだけだ。マネージャーが誰もいないのであれば考えたけど、2人もいるなら十分ではないのか。

「わたしは、二人がバレーやってるところを見れたらいいんだよ」

なんとなく口にした言葉だったけれど、しっくりきた。
二人がバレーをやる手伝いをしたいとは思うけど、他のバレー部員全員分も引き受けるのは荷が重い。二人分、ないしは一人分がわたしには精一杯だ。たった二人の面倒しか見れないマネージャーなんて、ポンコツもいい所だ。
随分上達したレシーブでボールを木兎くんにパスすると、バシンと勢いよくボールを打ちおろした。

「ソレ、すっげー告白だって桐崎気付いてる?」

ニッと笑うバレー部エース渾身…かどうかはわからないけど、それなりの力で叩きつけられたボールは、バウンドしてまた宙を舞う。
木兎くんの言葉を咀嚼して、飲み込んで。理解するのに時間がかかった。落ちてきたバレーボールがわたしの頭にポコンと当り、大丈夫かと二人が駆け寄ってきたとき。

「そっか、あの時からか」

体育館で初めて二人の練習風景を見た時。その時から、わたしは二人に夢中だったのかもしれない。ふふふ、と笑い出したわたしを、二人が訝しがる。

「ねぇ、二人のファンクラブ会員1号にしてよ」


2019.05.27
ブログ書くの飽きてきた…。あと、誤字脱字すっごい。

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