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KLM

KLMは始まりのABC、終りのXYZの中間に位置する途中経過という意味です。 でも、理系の管理人なのでK殻L殻M殻という意味もあります。

赤葦くん。

はい、本日は赤葦くん夢です。
我ながら謎チョイス。ちょっと続き物。

デフォルト:桐崎 アキラ(きりさき あきら)





1.
なぜか木兎くんの扱いが上手いという事で、木兎係に任命されて1年。2年に進級してやっとお役御免だと思ったら、またもや木兎くんと同じクラスになってしまった。

「よっ、また同じクラスだな、桐崎!」
「またかー。まぁ、よろしくね」
「おうっ!」

教室に入るなり、バシバシと背中を叩かれて挨拶をされた。地味に痛い。それにほどほどに応えつつ、名簿順に並んでいる自分の席に着く。
元気いっぱい、溌剌とした木兎くんは、たまに…いや結構頻繁にタカが外れてどうしようもなくなる。クラスの盛り上げ役として申し分ないと同時に、制御不能になるという爆弾でもあるのだ。そしてその爆弾処理班が、なぜかわたし。やる気のない気だるげな感じが、絶妙に木兎くんを落ち着かせるらしい。損な役回りだとは思わないが、いささか面倒である。

「なァ、桐崎。俺の席どこだと思う?」
「黒板に書いてあると思うなー」

そっか!と勢いよく黒板に向かう背中を見ながら、相変わらずだなぁとその元気の良さを少し羨ましく思う。
まずは人に聞く前に、ある程度自分で考えて欲しい。けれども、なんでもかんでもわたしに聞く癖を付けさせてしまったのはほかでもない、わたし自身だ。
1年の頃、次の授業は?移動教室どこ?体操服どこやったっけ?木兎くんの大きな独り言に逐一答えていたら、いつの間にかわからないことはわたしに聞く様になってしまっていた。わたしもわたしで答えなきゃいいのに、知っている事ならつい答えてしまうので、自業自得。
1年の時同じクラスだった人からは、今年もお願いねと口をそろえて言ってくる。

「まぁ、いいけどさー」

2019.05.20


2.
「あかーしがな!」

最近木兎くんからよく聞く、あか…あかしくん?どうやらそのあかしくんとやらは、部活で木兎くんの練習にに付き合ってくれるらしい。部活後誰も練習に付き合ってくれないとしょげているのを知っているので、よかったねと素直に口に出す。そしてその裏で、あかしくんに同情の念を送った。
体育の時の木兎くんは、そりゃもう水を得た魚の様に生き生きとしている。体育は男女別なので詳しいコトはわからないが、テンションMAXの木兎くんと体育をするのは大変だと聞いている。きっと部活でも同じなのだろう。お互い大変だねェ、あかしくん。と顔も知らない人にひっそりと語りかけた。



「桐崎、木兎に用事がある1年が来てる」
「なんでそれをわたしに言うのかな」

だって木兎のことは桐崎に聞くのが手っ取り早いだろ、とすたこら去っていく男子を溜息で見送り、ドアへと向かう。どの子だろう。1年生、1年生と繰り返しながら廊下まで出てみるも、それらしい人が見当たらない。いないと思って帰ったのかな?と再び教室へ戻ろうとした時

「あの、すみません。木兎さん…木兎先輩は」

やたら大きい男の人に声をかけられた。まさかこの人が1年生?と驚きながらタイの色を見ると、確かに1年生の色をしている。1年生というくらいだから、小さい子を想像していたが、イマドキの1年生はすごく大きいらしい。

「ごめん。木兎くん今他クラスに教科書借りに行ってるんだけど、たぶんギリギリにならないと戻らないと思う。いつもそのまま話し込んじゃうから」
「そうですか」
「何か伝言あるなら聞いとこうか?」
「じゃあ…」

どうやら1年生くんは、木兎くんの部活の後輩らしい。なるほど、バレー部員だから背が高いのかと勝手に納得しながら、1年生くんの伝言をメモに取る。

「名前は?」
「バレーボール部の赤葦です。そう伝えてくれれば、分かると思うので」

あかあし。あかーし、あかし。

「あぁ、君が噂の…」
「噂?」
「ううん、こっちの話。部活頑張ってね、応援してる。無理しちゃだめだよ、疲れたらちゃんと休んでね」

噂の木兎くん係。バレー部バージョンの子かと、なんだか同じ苦労を共にした仲間みたいに思えて、つい必要以上に労ってしまう。なんのこっちゃ、と瞬く赤葦くんの肩を叩き、ちゃんと伝えておくよ、と手を振った。宜しくお願いしますと頭を下げた赤葦くん。礼儀正しい。ぜひともくじけず木兎くん係を務めて欲しい。

2019.05.20


3.
その後何度か赤葦くんがうちのクラスを訪ねてくるも、結構な確率で木兎くんは不在だった。というより、木兎くんは休み時間の度にヘイヘイヘーイ!とどこかへ消える。どうしてそんなに元気なのだろうか。

「いつもすみません。伝言係に使ってしまって」
「いーよいーよ。そういう係みたいなものだから」

今ではすっかり赤葦くんと顔なじみだ。赤葦くんも教室内を見渡して木兎くんがいなければ「桐崎先輩」とわたしを呼ぶようになっている。

「木兎くんもねー、ほんの少しでいいから落ち着いてくれたらねー」
「常に動き続けてますからね」
「やっぱりバレー部でもそうなんだ?」
「部活終わった後もずっと練習してますよ」
「で、赤葦くんはそれに付き合ってる、と」
「はい」

頷く顔に疲労や嫌悪は見えない。

「練習に付き合うの、大変じゃない?」
「大変ですけど、楽しいですよ」
「そっか。赤葦くんはイイコだね。木兎くんもいい後輩持ったなぁ」

しみじみと思う。
部室にカバン一式忘れたのを持ってきてくれたり、あるいは体操服だったり、お弁当だったり。一番すごかったのが、木兎くんが朝練の後着替えるのを忘れて体操服で教室に現れた時、全速力で制服を持ってきてくれたことだ。全てを忘れる程部活に熱中できる木兎くんも、ある意味すごい。

「桐崎さんも」
「ん?」
「桐崎さんも、大変じゃないですか」

何をわかりきった事を。
そんなの大変に決まってる。

「でも、慣れだよね」
「慣れたんですか?」
「うん。付き合い2年目だし」

今日の赤葦くんはお喋りだ。お昼休みで時間があるからかもしれない。1年生が2年生の教室に来るのは、緊張するだろうに、木兎くんのためにすごいなぁ。

「あ、あかーしに桐崎じゃん!何話してんの?」

自分のクラスを思い出したらしい木兎くんが、漸くのご帰還である。何の話と問われて、赤葦くんと二人で瞬く。そんなもの決まってる。赤葦くんとわたしの共通の話題なんてひとつしかない。

「木兎くんは元気だねって。ね、赤葦くん」
「はい。もう少し自立してほしいと言う話を」
「えー、なんだよソレー!」

赤葦くんのちょっと辛辣な言葉と、貶されたことに気付いた木兎くんが赤葦くんをがくがく揺さぶるのがおもしろくて、つい笑ってしまう。
あぁ、本当に木兎くんはいい後輩をもったなぁ。

2019.05.20


4.
前言撤回。
昼間に木兎くん係は慣れたと言ったが、そんなことはなかった。いや、慣れてはいるけど、改めて大変だなと思っただけだ。
放課後、友達とだらだらと教室でだべっていたら、担任の先生がやってきて、木兎くんがプリントを一枚提出してない、桐崎回収してきてくれ、なんて言うのだ。いやそれは日直の仕事でしょう!と抗議したものの、日直はとうの昔に帰っているし、木兎と仲がいい桐崎ならなんて言い出した。友達に援護射撃を求めても、しょうがない。それはしょうがない。タイミングが悪かった、と助けてくれない。再度嫌だと振り返ったら、そこにはもう先生の後ろ姿しかなくって。じゃあ任せたなー、と人に雑用を押し付けて去って行った。もう一度友達を見ると、カバンを持って帰り支度をしている。
まさか、まさかまさかまさか。

「じゃ、先に帰るね」

薄情者!と叫んだわたしは悪くない。
仕方がないので重い腰を上げて、木兎くんがいるであろう体育館へ向かう。歩いている最中に下校時刻を知らせるチャイムが鳴って、ため息が出た。木兎くんが部活後も居残り練習をしているのは知っている。それに赤葦くんが付き合っているのも知っている。だからチャイムが鳴ったところで焦る必要はないのだが、どうしたって早く帰りたいと気が逸る。
下校時刻と同時に部活が終わった人たちとすれ違いながら、体育館へ急いだ。

体育館から漏れ出る明りにほっとしつつ、本当に木兎くんが残っているのかそっとドアを開けて覗き込んだ。
ダン!とボールが勢いよく床に叩きつけられる音が断続的にする。あかーし!ハイ。木兎さん。ヘイヘイヘーイ!真剣な声が聞こえて、二人のバレーをしている姿が目に入る。
邪魔をしないように開けた扉の細い隙間から、きらきらと眩しい世界が飛び込んでくる。初めて、あんなに真剣な顔を見た。何かに全力で向き合う姿を見た。無我夢中というのは、あんなにも、

あんなにも綺麗なのか―――。

つい二人の練習を見入ってしまったが、下校時刻はとっくに過ぎている。早く木兎くんのプリントを回収しなければ、帰るに帰れない。かといって、二人の練習の邪魔をするのもはばかられる。
うーんうーんと悩んでいたら、音がやんだ。これはチャンスか!と体育館の扉を開けると

「お、桐崎じゃん!」
まさに木兎くんがジャンプして腕を振り下ろそうとしたところで。

「木兎さん!!」
空中で器用に上半身だけこちらを向いた木兎くんは、そのままいいところに来たボールを打ち下ろした。とどのつまり、わたしめがけてボールが飛んできたわけで。

わたしが悪い。圧倒的にわたしが悪い。練習中に不用意に飛び込んだわたしがすべて悪い。飛んでくるボールを避ける反射神経など持ち合わせていないわたしは、甘んじて強烈なボールを顔面で受け止める事となった。

2019.05.20


5.
「ヤッベ、桐崎大丈夫か!?」
「桐崎さん、大丈夫ですか!?」
「ごめ、ほんっとごめん、だいじょうぶだから…!」

慌てて駆け寄ってきた居残り練習二人組は、こちらが申し訳ないほど心配してくれた。幸いなことに鼻や目は無事だし、血も出ていない。痛い所は、と聞かれれば、顔面全体が痛いけれど、問題ない。

「だいじょうぶ、だから。ごめんねぇ…っ」

問題なかったはずなのだけど、つい我慢できずぼたりと涙が落ちた。違う。痛くて泣いてるわけじゃない。ただちょっと、驚いてしまっただけだ。泣き止め、泣き止め、と念じてみても涙はぼろぼろと溢れて止まらない。ぐす、とついには鼻をすすってしまう。
すぐ冷やすもの持ってきます、と走る赤葦くんに、どうしようどうしようとおろおろする木兎くんに、本当に申し訳なく思う。だって、練習の邪魔をしてしまった。急に飛び出したわたしが悪いのに、謝らせてしまった。それが情けなくて、更に涙がこぼれる。

「桐崎マジごめん!痛ぇよな…?」
「うぅ、木兎くんごめんね、ごめんね…。木兎くんのせいじゃないから…」

だいじょうぶ、と笑おうとして、ぴきっと顔が痛む。思わず呻いてしまって、また木兎くんが大丈夫か、桐崎死ぬな!と大袈裟に心配してくれる。顔を覆って、だいじょうぶ、死なないよとお互いがお互いを心配しあう不思議な状況になった。なんとか木兎くんの罪悪感を払おうと頑張っているものの、ハの字になってしまった木兎くんの眉毛は動きそうにない。

「桐崎先輩、顔、こっち向けれますか」

息を切らせた赤葦くんが戻ってきた。どこまで救急セットを取りに行ったかは知らないが、息を切らせるくらい走ってくれたのは確実で。赤葦くんはあまり思っていることが顔に出ないタイプだけど、めちゃくちゃ心配してくれているというのは申し訳ないほど感じる。あぁ、本当にごめんね。

「濡れタオルです。痛い所にあてて下さい」
「赤葦くんも、ごめんね。余計な気を使わせちゃって」
「なんで桐崎先輩が謝るんですか」

「もうちょっとわたしが気をつけてたら、二人ともこんなことにはならなかったのに…ごめんね」

その後何とも言えない暗い空気の中、わたしたちは家路についた。送って行くと言ってきかない二人に最寄り駅まで付き添われ、これ以上は親に見つかったら厄介だから、と適当なところで切り上げてもらった。疲れているのに送らせてしまった罪悪感が今更ながらムクムクと膨らんでいく。先生に頼まれたプリントも回収できなかったし、顔はじくじくと痛むし、あぁ、本当に今日はダメな日だ。ちょっとだけ自分のことを嫌いになった。

2019.05.20

これは赤葦夢、これは赤葦夢、これは赤葦夢。そう自分に言い聞かせながら書いてます。だって冒頭とかどう見ても木兎さん夢。書いていくうちにちゃんと赤葦くん夢になろうとしてるけど、まだ油断ならない。当初の予定通りにいかない事しかないわたしだからね。そもそも、最初書きたかったものからかけ離れたしね。現時点で。既に。
そも、木兎さんのキャラがつかめてないからここまで出す予定はなかった。が、思いのほか出張る。出張り過ぎて木兎夢の可能性が出てくるくらい出張る。なんでや工藤…。もうこのやり取り飽きたで工藤。工藤やのうてくどいやくどい。
こんな調子で短く区切るから、いつも話数がとんでもない事になるんだよね!だっていい話の繋ぎ方とか知らないもんね!しょうがな…くない。いい加減どうにかしよう、これ…。いや作風という事でなんとかなんない?こんな感じで書いてたら、明後日くらいまでこのネタ引張んなきゃいけないんだけど。明後日までこのやる気がもつの?大丈夫?とりわけ書きたいシーンがないんだけど、テンションもつの?大丈夫?
ちなみにこの後バレーボールに興味を持って、マネちゃんになる予定。その後は一切考えてない。漠然と、赤葦夢としか考えてない。これ絶対途中で飽きてやめるパターン…。

大将くん夢も書きたすぎて考えてたら、大将くん姉で弟大将くんと言い争うのしか思いつかなかった。ミカちゃんという彼女が出来て、彼氏のいない姉をdisりまくる大将くんと、その性格がバレてフラれるまで秒読みの癖にと言い争う彼氏のいない姉。みたいな。夢か?夢なのか、これは。もしその姉に彼氏ができるとしたら、及川さん。東京と東北?そんなこと今は考えない!どっちも性格悪いのをひた隠しにして面白おかしく付き合うがよい。

侑くんでトライやるウィークネタを書こうかなと思ったけど、時間切れ。あと1週間は色々大丈夫そうなので、ちょっと心が落ち着いてる。しかしまだまだ情緒不安定。突然また侑くん侑くんて泣き出します。




以下、6話の没案。面倒だからすっとばそうか迷い中。

翌朝、鏡を見て驚いた。ボールがぶつかったであろう場所が、えげつない色に変色していた。ぶつけた当初は全体が痛くてよくわからなかったけれど、おでこ周辺にあたっていたらしい。ギリギリ前髪で隠れそうな場所で助かった。家族に酷い顔と笑われながら、マスクをして家を出た。
いつもより早い時間のバスに乗ったのは、この顔をあまり人に見られたくないというのと、もう一つ理由がある。

「おはー」
「うぉっ!なんで桐崎がいンだよ!!」
「木兎くん調子崩してないかなーと思って。どーでしたか、赤葦くん」
「最悪って程でもないですが、調子は悪い方でしたよ。なんでいるんですか、桐崎先輩」

昨日と同じように、体育館前で出待ちをするためだ。朝練が終わって、バレー部他運動部が続々と部室棟へ歩いていく。その中でも一際大きく目立つ人物と、その傍にいる黒髪1年生を捕まえればこっちのもの。あれだけのことを二人にしでかしてしまったのだから、謝らないと気が済まない。練習の邪魔をしてごめんね、わたしは元気、心配無用。木兎くんプリントちょうだい。完璧だ。

「いや、昨日のアレはどう考えてもこっちが悪いでしょう」
「そ?じゃあ過失割合50:50で、お相子だね」
「どゆこと?」
「どっちも悪かったから、もう気にしないようにしよってこと」

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