KLM

久しぶりのお子さまです。だが現パロ。
このネタは一度やっておきたかったので満足。
ここからアホの子が金づちという設定が膨らんでいけ。

コトリは外で遊ぶ子供だが、家でテレビを見ていることもある。
主に夏と冬、外で遊ぶのが危険と判断される時期。
保護者の外出制限により、扇風機を回したほどよく熱い部屋で氷をがりがりと食べながらテレビを見ている。
熱中症や霜焼け対策に外出を禁止するなんて周囲からは過保護だと呆れられることもしばしばだが、ひと夏に二回も病院へ駆け込んだり、冬は冬で霜焼けの薬を何度も買いに行く労力を考えれば過保護と呆れられるほうがましだ。
子供は外で遊ぶもの、という昔ながらの考えももっともだが、限度を知らず文字通り倒れるまで遊び倒す馬鹿が世の中にいることを知っていてほしい。

 

「マルコ！うみ！うみいきたい！！」

「あ？」

 

ただし、テレビで余計な知識をつけることを覚悟しておかなければならない。
やれあれがうまそうだの、やれあのレストランに行きたいだの、やれあの料理を作れだの。
料理番組を好んで見る子供と言うのは一般的なのだろうか。
偶に子供向けのきぐるみが出てくる教育番組にチャンネルを合わせてやると、司会やきぐるみと一緒に体操をしている。
こういうときは一人にさせておいても問題はないので、部屋を持っているものは自室で仕事をしていた。
仕事中部屋への出入りは禁止しているので、息抜きがてらリビングへ降りて行くとさっそく余計なことを覚えたコトリが飛びついてきた。

 

「うみ！」

「あー、そういやお前行ったことねぇか」

「すいかわり！！」

「海よりそっちが目当てだろ」

「でもたべものたたくのよくないな？」

「お前食い物についての常識だけは持ってるな」

「すいかにしおかけるとうまい！」

 

棚から透明のコップをとり、冷凍庫をあけて氷を二三個手で取り下の段のポケットに入っていた麦茶を注ぐ。
ぱきぱきと氷が割れる音が聞こえて、立ったままその場で一杯目を飲みほした。
二杯目を注いで、ようやく居間のイスに座る。
自室はクーラーを効かせているが、居間は扇風機だけだ。
開いていた窓を閉め、クーラーのスイッチを入れる。
仕事もひと段落つき、やっとの休憩だ。
そこへうっすらと汗をかいているコトリが膝へ飛び乗ってくる。

 

「うみいってすいかわり！したい！する！」

「あー、そうだな。庭でスイカ割りでもするかよい」

「うみいかなくてもすいかわりできる？」

「スイカ食えりゃそれでいいんだろ？」

「すいか！」

 

コトリの体温が高くて冷房がまだ効いてなく暑いので、横のイスを引っ張ってそっちへ座らせる。
広い庭があるので、場所の問題はない。
スイカもスーパーで買ってきたらいいだろう、やろうと思えばすぐにでもできる。
殴るものは木刀で、タオルで目隠ししたらいい。
騒ぐのが好きな大人が多いから、やるとなればすぐにでも実行されるだろう。

 

「しかし海なぁ」

「マルコうみきらい？」

「いや、どっちかってーと好きだよい」

「いきたくない？」

「行きたくねーっつーか」

 

一般人との住み分けとして、肌を露出させる場所には行かないという意識がある。
別にやましいことはないけれど、まぁ、そうだなぁ。

 

「背中の入れ墨があるからな」

 

からんとコップの中の氷が音を立てた。

 

 

 

 

この後みんなで楽しくスイカ割りやって、花火もしたそうです。
2012/07/15

刺青ネタでした。
腕やら足やらに軽くやっている人はよく見かけるので別にいいかな、と思わなくもないのですが、やっぱりその道の人なので一般人とのすみわけを必要以上に考えてそう。
マルコの刺青って首でしたっけ、もう忘れた＼(^O^)／
したがって、海・温泉・プール、その他肌を露出させる場所にはつれてってもらえないアホの子。
それでもテーマパークとか動物園とかには連れてってもらってる。