KLMは始まりのABC、終りのXYZの中間に位置する途中経過という意味です。 でも、理系の管理人なのでK殻L殻M殻という意味もあります。
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本日更新分のシリアス&塩辛ver
どばっしゃーん
「コトリー、まぁたエースが海に落ちたぞー」
「ぅあーい」
おいっちに、と軽く屈伸して、手足をぷらぷらとふって、コトリはためらいなく海に飛び込んだ。
たった数秒でかなり沈んでいるエースを脇から抱え上げ、海水を蹴った。
*
「エースも懲りないねぇ」
「うっせ」
「ね、オヤジ様のが強いってまだわかんない?」
「……………………………」
船員から投げられたタオルでがしがし頭を拭きながら、コトリは未だ仰向けで横になっているエースに問うた。
他意はないし、蔑んでいるわけでも見下しているわけでもない。
ただ純粋に、疑問に思っただけだ。
毎日毎日毎日毎日、多い時では一日に二回も三回も白ひげを襲いに行っては返り討ちにあっている。
それがもう3ヶ月だ。3ヶ月、決して短くはない。
その間に他の船員はすっかりエースを仲間だと思っているし、コトリもエースを大事な仲間で楽しい喧嘩仲間だと思っている。
けれど、肝心要のエースはどうだ。ちっとも船に慣れてくれない。
自分とは多少うまくやっていってるように感じるけれど、それでも船上でエースは浮いている。
どうしてそこまで白ひげを拒むのか。
エースは白ひげに負けた。
だったら、負け犬ならば、勝った相手に従うべきだとコトリは思う。
情けを貰って生かしてもらってる身じゃないか、それなのに、どうして刃向かう。
これ以上生き恥をさらしてどうしようというのだ。
汚名を雪ぎたいのだろうか、名誉挽回をはかろうと言うのだろうか、これだけ恥を上塗りした後で?
エースは一体何をどう考えているのだろう、とコトリは不思議だった。
「エース、もう、意地を張るのはやめたら?オヤジ様には勝てないってわかったでしょ?」
「うっせぇ」
「みんなとさ、仲良くしようよ。コトリ、エースが好きだよ。みんなも、エースが好きだと思う。仲良くなれる」
「俺は、」
「コトリもね、プライドとか男の意地とか、わかるよ」
「このままじゃ、示しがつかねぇんだよ!!」
「わかるけど、結果がわかりきってるのに続けるのは、見苦しいよ。未練がましい、往生際が悪い」
ちきしょう、とエースが言ったような気がした。
コトリは、エースの隣に座っていた。
2010/11/04
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