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KLM

KLMは始まりのABC、終りのXYZの中間に位置する途中経過という意味です。 でも、理系の管理人なのでK殻L殻M殻という意味もあります。

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お子さま行進曲 子時代編その5

うっかり子時代編です。
 


琴里が見張りの時だった。
心地いい潮風にうっとりとしていると、視界に黒い点が映る。
海と空の境界線、水平線と言うらしい場所に黒い点。
なんだろうと一緒に見張りをしていた船員の袖を引っ張る。
あれ、と指差すが、見えないらしい。
船員は手に持っていた双眼鏡を覘いて、はっと息を飲む。
次の瞬間、呑んだ息を思い切り吐き出した。

 

「海賊船だ!!!」

 

 

 

 

2010/10/07

 

 

 

 


ほかのかいぞく?
敵か、ただすれ違うだけかはわかんねぇが、用心するにこしたことはねぇ。
てき…。

 

琴里は一瞬で移動していた。
見張り台から飛び降り、音もなく着地。
甲板にいる他の船員の間を風の様に駆けて向かうは。

 

「おやじ」

「なんだ、コトリか。どうした」

 

エドワードの元だった。
いつ扉が開いたかもわからないほど、琴里は唐突にそこに現れた。
木製の床を踏み鳴らすこともせず、空気さえも震えさせず、琴里はエドワードの前に現れた。
無にして静、表情さえも消えた琴里をエドワードは驚きもせず迎える。

 

「琴里は、どうしたらいい」

「ん?あぁ、海賊船が出たらしいな。敵なら相手をするし、そうでなくとも積荷を頂くくらいのことはするか」

「琴里はだれをころせばいい?」

 

ぴくりと白ひげが琴里の言葉に反応した。
目の前の子どもは、表情を変えず佇んでいる。

琴里は忍だ。
殺すだけの道具。
敵がいるのなら、使ってもらわないと。
琴里は琴里の意思で戦えない。
戦いの方法がわからない。
明確な指示を貰って、愚直にそれをこなすことしかできない。
命令には絶対服従。
それが琴里の生き方で、唯一の存在意義。
だからだから、どうか、命じて。

 

「コトリ」

「あい」

「お前は俺が殺せと言ったら殺すのか」

「ころす」

「誰でも殺すのか」

「だれでもころす」

「仲間を殺せと言ってもか」

「なかまもころす」

 

エドワードは素早くその巨躯を起こし、琴里を殴った。
受け身も何も取らなかった琴里は、自分と同じかそれ以上の大きさと質量をもつエドワードの拳に殴られ、扉へと吹き飛ぶ。
厚さ5cmはあろうかという木の扉を、軽い琴里がぶち破る。
それほどの勢いで殴られた。
木片が飛散し、木屑の中で琴里が呻く。
木の砕ける音を聞きつけた他の船員が集まる。
エドワードは立ち上がり、倒れた琴里の頭をつかみ上げる。
琴里は少し呻き、ゆるゆると目を開く。
エドワードと目が合う。エドワードが琴里を自分の目の位置までつかみ上げている。
その目は怒りに満ちていた。

 

「お前今なんつった」

 

 

 


2010/10/07

 

 

 

 

 


「だって琴里は忍だもん!」

 

泣きながら、琴里は叫んだ。
時折呻きながら、自分の頭を掴んでいるエドワードの手をつかんで。

 

「琴里はめいがあれば、それにしたがう、それだけだ!!」

 

エドワードは琴里を床に投げつけた。
みしりと、床か琴里かどちらか、あるいは両方がきしむ。
衝撃で部屋の外まで飛んで行った琴里は、立ち上がれないまま白ひげを睨んだ。
白ひげは怒りあらわに怒号を飛ばす。

 

「もっぺん言ってみろ、ガキ!家族殺すバカがどこにいやがる!!!!」

「めいれいはぜったいじゅんしゅ!琴里は琴里じゃない、めいれいどおりにうごくどうぐだ!!!」

 

もうぼろぼろな琴里はそれでもなんとか立ち上がり、泣き喚きながら白ひげを見上げる。
何時の間にか二人を取り囲むように人垣が出来ていた。

 

「死ねと言ったら死ぬのか、お前は!!」

「しぬ!それがめいれいなら、琴里はさからわない!!」

「んのクソガキ!!」

 

 

 

 

発覚・主人公特性→異常に撃たれ強い。(思えば導入のBASARA編でも佐助に刺されてたな)
2010/10/10

 

 

 

 


自我が芽生えた頃から既に琴里は忍だった。
日々切磋琢磨し、己の能力の向上を図る。
体力の底上げ、筋力の強化、忍術の会得。
それが当たり前だった、それしかなかった。
城勤めが決まった時は、漸く主が決まったと嬉しかった。
主の為に働き、主の為に死ぬこと。
それが誇らしい生き様だと琴里は信じていた。
例えそれが契約で、金子で決められただけの関係だったとしても、隷属するために育てられた琴里には雇主という存在が神だった。
誰かの為に働くこの喜び。
忍とは孤独だと教えられた。
誰にも頼らず、誰も信じず。
ただ一人、主人だけを標としてその影に潜むのだと。

だけど、ここに琴里の主はいない。
奥州筆頭伊達政宗はここにいない。
琴里もたった一度しか謁見したことはないが、あの人がお前の使える人だと長が言っていた。
正直な話、別に伊達政宗が好きで主と忠誠を誓っているわけではない。
ただ単に、琴里は「主」という雇い主が欲しかっただけだ。
どこにも属さない忍ほど意味もないものはない。
そんなのは死んでいると同義だ。
琴里は誰かの為に生きて、自分の生きた人生を誇って死にたい。
だから、誰でもいいから琴里は主が欲しかった。

今の琴里に主はいない。
悠々自適なんて、琴里には耐えられなかった。
目的もなくだらだらと過ごすなんて、曖昧さが不安だ。
己は誰かに隷属し、命令されることで琴里は生きていられる。
目的が欲しい。
主が欲しい。
琴里を使ってくれる、雇い主が欲しい。

 

「琴里は、にんげんじゃない、どうぐなんだよ!どうぐは、なにもかんがえちゃいけないんだ!!」

 

 

 

 

2010/10/10

 

 

 

 

 


目の前の子供は、自分が道具とかほざく。
人間ではなく、物言わぬ道具だと。
感情さえ持たず、ただ言われるがままになんでもすると。
人殺しはおろか、自分の命まで差し出すと。
では今まで笑って日常を過ごしていた琴里はどこへ行ったというのだ。
楽しそうにはしゃぐ姿は嘘だったというのか、仲間と仲良く遊んでいたのは、家族と呼んだのは。
全部全部、偽りだったと。

エドワードはぎりと歯ぎしりする。
こんなに幼い子供が、悟ったふりをしてるんじゃない。
人生と呼べるほど生きていない子供のくせに、苦楽も何も経験していないくせに。
たかだか数年の人生で、何を感じて生きたんだ。
まだまだこれからのはずだ、これからもっと色々な事を体験して、これから大きくなるんだろうが。
それなのに、ふざけるな、ふざけるな!

みんなみんな、大切な家族だ。
誰一人欠けることは許さない。
仲間同士で殺し合いなんて、誰が許すものか。
自ら死にに逝くのなんてもっての外だ。
琴里が今までどこでどうやって暮らしていたのかは知らない。知らないけれど、教えてやる。
お前はこの白ひげの家族なのだと。エドワード・ニューゲートの娘なのだと。
間違っても道具なんかじゃない、人間だ。
可愛い可愛い、娘なんだ。

 

「お前は人間だ」

「ちがう、ことりは忍だ!にんげんじゃない!!」

「コトリは白ひげ海賊団の海賊だ、そして、俺の娘だ!」

 

 

 


2010/10/10

 

あの子を解き放て、あの子は人間だぞ…!
どっかで見たことあるやり取りでした。
重い文章で書きたいことかけて幸せでした^/////^

主人公の特性→忍、撃たれ強い、名字は風魔か真庭のどっちか。
もう元がBASARAだから、忍術とかなんでもありかなと思ってますwww
今考えてるのは、影の中に潜む能力。
えーと、ほら、GS美神の冥子の式神的な(わかりにくい
あと足が異常に早い、強い。
BASARAと真庭だからなんでもありだよね!!!!!!!!!!

 

えぇと、恋愛編はもう少し先になります。
今現在子時代編フィーバー^^

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