KLMは始まりのABC、終りのXYZの中間に位置する途中経過という意味です。 でも、理系の管理人なのでK殻L殻M殻という意味もあります。
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明日も映画見てくるかなー。
でも、カラオケ行きたい\(^о^)/
アリプロ祭りをするんだ…!目指せ昭和恋々幻燈館85点!
アリプロは昔から聞いてるくせに、歌うろ覚えすぎて歌えない曲が多いという(^q^)
有愛さんとカラオケ行ってみたいです(^q^)←←←
さて、今日は特筆して書くことはないかな。
…いつもだけどね!
あ、そうそう、恥ずかしながら先日の六年語りで伊作の台詞、仙蔵って入れるはずのところが間違って伊作ってなってて\(^о^)/ …い、いくらなんでもこの間違いはひどいwww
と、その、ごめん…留のセイシュン。青春の一発変換がカタカナだっただけなんだ…。最後が。なのも、一番最後だから。になっただけなんだ…。変な期待させてごめん…。留なんか眼中になくてごめん(心の中にしまっておくべき言葉)
以下、先日言ってたBASARA佐助(幸村?)短編。
デフォルト→幺姫(ちいひめ)
主従関係いいよね!ってゴーサイン貰ったから、うっかり趣味爆発\(^о^)/
佐助がまだ猿飛の姓を持たず、字も持たなかった単なるさすけだった時。
幸村の、前の主に仕えていた時。
「おひぃさま、お待ちくださいっ」
「幺姫と呼びや。いつも申しておろう」
やっと十を超えたばかりの少年と、未だ十に及ばぬ少女が戯れていた。
少年は小袖を着ていたが、少女は単衣を着ていた。その姿だけで、身分の違いは一目瞭然である。
「さすけ、そちは一体誰に物申して居る。妾はそちの主ぞ、何故妾の行動を憚るのや」
「め、滅相もございません。ただ、あまり遠くへお出になられると御方様が…」
「ふん、かまやせぬ。どうせ父君も本日は遠出じゃ、上田城まで出向いておるのであろ。そんな日くらい、好きに遊ばせてくりゃれ」
そして、少女はまた歩き始める。
少女の小さな歩幅では、干に屋敷を出てまだ屋敷の見えるところにしかこれていない。
それでも少年にしたら十分すぎるほど遠出で、いつ帰ってくる少女の父の心配ばかりしてしまう。
怒られるのは、勝手に出かけた少女と少年もなのだ。
むしろ、少年のほうがきつい叱りを受けてしまう。傍についていながらなぜとめなかったのか、と。
だからできることなら今すぐ少女に屋敷へ戻ってほしいが、その申し出は却下されてばかり。
「疲れた。さすけ、おぶってたも」
「はい…」
「行きゃれ。そち、忍びであろ。出来るだけ高い木の上へ登るのじゃ。そう、上田城が見えるほどにな」
少年は少女をおぶり、鍛えられた足で野山を駆けた。
それから辺りで高くて登りやすそうな気を見つけて、一気に登る。
少女を抱えたくらいでは、なんら問題ない。
それだけ少年は鍛えていたし、鍛錬していた。
登りきると降りたがる少女を枝に座らせ、少年は少女が落ちて怪我をしないようこっそり帯を持つ。
「見や、さすけ。あれが真田様の坐す上田城じゃ。なんと立派なことか」
「はい」
「妾は父君が羨ましい。妾も父君に着いて上田城へ出かけたかった」
少年は、少女が戀をしていることを知っていた。
少女は上田城の嫡子、弁丸に懸想しているのだ。
でも、だからどうということはないし、少女が誰を思い慕おうと少年には関係のない話だ。
「……さすけ、そち、今日から猿飛佐助と名乗るがよい」
「さるとび、さすけ?」
「是。字は…ほれ、こうじゃ」
「猿飛佐助、ですが、おひぃさま…」
「幺姫じゃ。幺姫と呼びゃれ」
「幺姫様、どうして、急に…」
佐助が突然のことに戸惑っていると、幺姫は笑った。
つられて佐助も笑うと、きちんとした名を賜ることができてうれしくて誇らしい気分になってくる。
今まで名を持たなかったからこそ、名の大切さを知っている。
礼を、と口を開きかけた瞬間、幺姫の言葉に佐助は言葉を失った。
「佐助、そちは上田城へ行き、弁丸様にお仕えしや」
「…え?」
「これよりのち、そちの主は妾でなく弁丸様となる。心身とも弁丸様に捧げや」
「ま、待ってください、おひぃさま…!どうして、そのような!!」
名を貰って高揚した身体が、一気に冷えた。
佐助は冷や汗をかきつつ、目の前で遠くを見つめる幺姫を見た。
その横顔は年相応に幼いものの、思考は大人のそれだ。
上田城の真田家に仕える家の長女として生まれた幺姫は、幼い頃より礼儀を学び作法を会得し様々な事柄を習得した。
知識も思考もその一つ。
幼い頃に幺姫に見込まれ忍の里から連れてこられた佐助は、そんな幺姫を尊敬し敬愛し陶酔し己の主と決め今日まで使えてきたのだ。
それなのに、今日限りで、解雇と。
「この家も、今日で絶える」
「なぜ!」
「父君は本日、上田城へ攻め入った。昌幸さまの首を取らんとな」
告げられた事実に、佐助は愕然とした。
部下が主人を裏切るなど、考えられなかった。
ましてや、幺姫の家は代々真田家に仕えた名家だ。
その功績を讃えられ、屋敷を賜ったというのに。
地位も金も領土も、それなりに持っていただろうにどうしてこのような愚行を。
佐助は青ざめるが、幺姫は静かに続ける。
「妾は、真田様を裏切る気にはなれなんだ。妾は昌幸様を敬愛しておるし、弁丸様もよいお方じゃ。真田の家は代々領土を収め、上田を守り、民を慈しんでくださった。それなのに、なぜ討たれねばならぬ。妾は知っておる、父君は嫉妬したのじゃ。醜くも浅ましい、父君は真田様の持つもの総てを羨んだ。上田城も、財産も、国も、民も。己も真田様に守られている民だということも忘れ、蒙昧し、兵をあげた。愚かじゃ、実に愚かじゃ。そして、妾もその愚か者の血を引いておる。妾は真田様をお守りするため、父君の謀を密告したのじゃ。父君は、ほんに愚かじゃ。妾が真田様と通じているとも知らず、妾が幼いゆえ難しい言葉はわからぬだろうと計画の仔細を話すのじゃ。妾は総てを昌幸様に報告し、何食わぬ顔で父君に話を乞う。父君も妾も、あまりに愚かじゃ。父君は敬う主君を討たんと兵をあげ、妾は父君を陥れようと総てを話す。実に、親子じゃ。よう似ておる。愚かなところが」
幺姫の言葉を、佐助はただ黙って聞いていた。
聞いていてもあまり理解できなかった。
ただ、目の前にいる幺姫が危うい立場にいるのだということは理解できる。
「おひぃさま…」
「屋敷は、すでに包囲されておる。追手もすぐに来やる。佐助、そちは逃げや」
「いやです、おひぃさま!いえ、幺姫様!!俺は、あなたをお守りするために存在しているのです!!」
「行きゃれ。命令じゃ。いつから主に刃向かうほど偉くなった」
幺姫は初めて佐助のほうへむき直り、じとりとにらんだ。
幼い顔は怖くなかったが、幺姫の覇気に佐助は気圧される。
「で、ですが幺姫様、幺姫様なら密告の功もあり昌幸様もお許しに」
「…いうたであろ、妾は、愚か者じゃと」
「幺姫、さま…」
「妾は父君とともに逝く。妾は真田様が好きじゃ、けれど、父君は妾のたった一人、妾の父君なのじゃ」
幺姫は、笑った。
「許してたも、佐助。そちを残してゆくのはしのびないが、そちは死んではならん。そちはまだ若い、将来有望な忍じゃ。案ずるな、昌幸様には話をつけてある」
「そ、んな!幺姫様以外の主など必要ありません!どうかこの佐助も、幺姫さまと一緒に」
「ならぬ。何度も言わせるな、そちは今日から弁丸様にお仕えしやれ」
「なぜっ!?俺が生涯仕えようと誓ったのは幺姫様ただおひとり。弁丸なぞ、俺は知らない!!」
「黙りゃ。異論は認めぬ、刃向かうことも拒否することも許さぬ。そちは妾の命を聞くだけぞ」
「弁丸様が、それほどにお好きか!俺を捨てるほどに、愛しておられるのか!!」
佐助は、泣いていた。
捨てられる、切り捨てられてしまう、たった一人、心に決めた主から。
主を失う辛さを、主は知っているのだろうか。
その身を引き裂かれ、心を嬲られ、思考を蹂躙される辛さと、自分独りになってしまうという孤独と絶望と恐怖を。
そんなの嫌だ、主を失うことに比べれば、自分の命など秤にかけるまでもない。
何より重いのは、主である幺姫だ。
幺姫が一言、己を守れといえば、佐助は何を賭けてでもその指名を実行する。
「…佐助、妾は愚かじゃ。肉親を見捨てたというのに、自己の満足のため己の命を捨てる愚か者じゃ」
「でしたら!生きて!生きて俺の標となって!!」
「妾は知っておる。そちが妾の忍だということを、妾の下僕だということを」
「知ってたら、どうして!」
「妾は、そちに生きていて欲しい。父の死を望み、自己の死を願う。けれども、そちには生きていて欲しいのや」
幺姫の優しい言葉が、佐助の胸に突き刺さる。
優しいはずの言葉なのに、棘となって刃となって佐助を切り裂く。
どうしてどうして、この姫は真綿で首を絞めるようなことを言うのか。
「あなたがいなければ、俺は死んだも同然だっ!!」
「ならば死にや。死んで、生まれ変わりゃ。生まれ変わって、弁丸様に仕えるがよい」
「どうして、そんなに弁丸に拘る!」
もはや、佐助の内にあるのは怒りだけだった。
幺姫は己のことなどどうでもよさげに語り、口を開けば弁丸という。
幺姫のそばに誰より居たのは己なのに、それなのに。
悔しいやら悲しいやらで、佐助はもうどうにかなってしまいそうだった。
「妾はの、弁丸様をお慕い申しておる。それと同時に、佐助も好きじゃ」
それはおそらく、弁丸とは違う好きだ。
その差が佐助には切ない。
けど、佐助はその好きが弁丸より重いことを知らない。
「幺姫、さ…ま」
「だから、妾は死んでも佐助には生きていて欲しい。そう思うのは我儘かや?そちも妾と死にたいかえ?」
「幺姫様、だけだから、俺には、幺姫様しか」
「これから、弁丸様のために生きるのはそんなに苦痛かや?そんなに死にたいかや?」
「だって、幺姫様、幺姫様がいなくなったら、俺……」
「妾は、そちに生きていて欲しい。そちが生きておれば、別にどうでもいい。心残りじゃが、弁丸様も昌幸様のもと健やかお育ちになられることであろ」
ずるい、普段はそんな優しく言わない癖に。
「そちなら、弁丸様をお守りできると思うたから頼んだ。そちなら此度のような戦禍から弁丸様を守り、正しき道へと導いて行けると信じていたから、頼んだ。もしそれが重荷なら、仕方がないが妾は諦めよう」
「幺姫様、幺姫様が生きるという道は、ないのですか」
「堪忍してたも。妾は父君とともに逝きたいのじゃ」
「それに、俺が付いて逝くことはできないのですか」
「妾は、佐助に生きていて欲しい」
「どうして、弁丸なのですか」
「…弁丸様ならそちをしっかし見ていてくれそうじゃし、そちも弁丸様なら納得いくだろうて思うたからやえ」
声が、ざわめきが聞こえ始めた。
おそらくは、真田の兵だろう。
聡い幺姫のこと、己を殺してくりゃれ、と昌幸に頼んでおいたに違いない。
もう覆ることのない少女の決定に、佐助は最後の涙を流す。
「佐助、頼まれてくれるかや?」
「………………………」
「最後じゃから、我儘は言わぬ。嫌じゃと思うたら、断ってたも。ただ、承知したのなら引き返すことは許さぬぞ」
「幺姫様、俺の、たった一人の人。あなたの、望みとあらば」
「妾が死んだら、妾の事は忘れよ。命令じゃぞえ?必ず、妾に誓ったのと同じように弁丸様にも誓うがよかろ」
言い終えると、幺姫は細い枝の上に立ちあがった。
佐助は慌てて、帯を握る。
幺姫がこの高い木の枝から落ちぬよう、気を配った手を。
「別れじゃ、手をはなし」
「幺姫様!」
「行きゃれ、佐助。今この瞬間から、そちは弁丸様の忍ぞ」
「幺姫様っ!!」
幺姫は笑って、少し涙を流しながら、木から、このあたりで一番高く上田城も見える木の上から、飛び降りた。
けれども、佐助が帯から手を離さなかったので宙ぶらりんとなる。
「離しや、佐助。そちはもう、妾のものではない」
放たれた言葉が、佐助に突き刺さる。
涙が落ちて、幺姫の頬をぬらす。
力を込めた手を離せば、幺姫は落ちる。
その瞬間から、佐助は幺姫を忘れなければならない。
「佐助、ありがとう」
最期に幺姫は笑って、落ちて行った。
その後佐助は幺姫の申しつけ通り上田城へ向かい、弁丸つきの忍となった。
それから、もう何年過ぎただろうか。
「佐助、お主は覚えておるであろうか。幺姫のことを」
「あー、覚えてるよ。そりゃね」
「某は幺姫の事が好きであった。まだお小さかった姫なれど、あのお方は慈しみにあふれ、知性豊かなお方だった」
知っている、誰よりも近くにいたのだから。
「無念だな、賊に襲われ帰らぬ人となられた。今の某なら、守ってやれたものを」
「うん、そーだね。それより旦那、午後の政務は終わったの?俺様に団子買いに行かせてさ」
そう言って佐助は幸村を、嘗て弁丸と呼ばれていた青年を部屋に閉じ込め、自分は外へと出て行った。
見晴らしのいい木の上に立ち、野山を見やる。
“見や、さすけ。あれが上田城じゃ”
2009/06/22
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