KLMは始まりのABC、終りのXYZの中間に位置する途中経過という意味です。 でも、理系の管理人なのでK殻L殻M殻という意味もあります。
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「泣いているのですか」
顔を上げると、黒い帽子に黒いマント、セーラー服を着て、杖を持った魔女のアバターがいた。
泣いてない、と言おうと思って流していた涙をぬぐった自分の手は、キングカズマのふさふさ手ではなく、褐色の良く日に焼けた自分の人間の手だった。
けれど、今はそんな些細な事どうだっていい。問題じゃない。
「泣いてない、泣くもんか」
「そうですか。では、何があったのですか」
見ず知らずの人間に己の恥辱を語るのは矜持が邪魔したが、なぜか、ここが夢の世界だということがわかったので、腹の中にたまっていた愚痴を蟠りを吐き出すかのように大声で叫んだ。
夢の中でなら、弱さをさらけ出しても誰も笑わないだろう。怒らないだろう、蔑まないだろう。
負けたこと、悔しかったこと、悲しかったこと、自責の念、後悔の念、痛恨の念。
申し訳なさが胸を締め付ける。
逝ってしまった祖母の仇をとるはずだったのに。
それなのに、負けてしまった己が悔しい!
「そうですか。では、貴方は何を望むのです。復讐ですか、再戦ですか、何もしませんか」
「ぼ、くは…」
守 り た い !
ふと意識が浮上した。
どうやら先ほどまで見ていたのは夢ではなく、意識を飛ばしていたらしい。
どのみち夢とそんなに変わらないのだろうけど、少なくとも眠っていたわけではない。
ラブマシーンに当たって砕けて、惨めにも無残にも情けなくも吸収されてしまった自分にショックを受けて意識が飛んでたらしい。
実際にはわずか数秒しか経っておらず、不思議な気がした。
数秒では足りないほど叫び、一瞬では表現しきれないほど泣いた。
それが一瞬のうちに過ぎ去ったことだと思うと、とても不思議だ。
あの魔女。
彼女は一体何だったのだろうか。
*
かずま編終了。
次回魔女っ子のターン。の、予定は未定。
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