KLMは始まりのABC、終りのXYZの中間に位置する途中経過という意味です。 でも、理系の管理人なのでK殻L殻M殻という意味もあります。
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久々の連日更新&執筆活動です。
季節外れにも程がある現パロを追記にのっけて置きます。
真夏のだれてた時期に書いたんだなぁというのがネタからつたわってきますね。
って言おうと思ったんだけど、ハロウィンだし去年のハロウィンの続きでも書こうかなという事になりました。
とか思ってたら時間切れ、去年の再うpで勘弁してね\(^o^)/
「コトリ、これなんだかわかるか?」
「ねこのみみ!」
「狼だ」
「あー、おおかみな!あのいぬな!」
サッチは助けを求めるように後ろのイゾウを見たが、イゾウはどういう意味だか首を横に振った。
とりあえず手にしていた狼の耳のカチューシャをコトリの頭につけてやり、おそろいのもふもふの尻尾も装着してやった。
仕上げに狼の手を模したにくきゅう付きの手袋をはめさせれば、狼コトリの完成だ。
元来犬っぽいような気がするコトリなだけに、妙に似合っているとサッチとイゾウは思った。
仕立て上げたイゾウは自分の見た手と腕の良さに満足しているらしく、うんうんとうなずいている。
コトリは自分の腰についた尻尾を見て、頭の耳を触って、手のぷにぷにもふもふのにくきゅうをみて、わぁっと感嘆の声をあげた。
「コトリ、いぬになった!」
「狼だ!」
「わん!」
「せめてがおーって言え…」
「がおー!」
笑顔でがおーと言われてもちっとも怖くない。
むしろ子供らしくて笑みがこぼれる。
だが、今日はこれでいいのだ。
なんたってハロウィンなのだから!
「コトリ、今からお前に魔法の呪文を教える」
「まほー?」
「お菓子がもらえる魔法だ」
「コトリがんばる!!!」
お菓子という単語が出た瞬間急に真面目になるコトリは、食い意地が張っている。
どうせトリックオアトリートなんて耳慣れない言葉を教えても覚えられないだろうから、ストレートに、
「お菓子をくれなきゃいたずらするぞ、だ」
「おかしをくれなきゃいたずらするぞ!」
2010/10/31
「いってきまーす!」
「おう、沢山菓子貰ってこい」
がらがらがら、と玄関を開けて飛び出していったコトリを見送り、家の中に戻ろうとしたらいつの間にか背後に立っていたマルコにぶつかった。
「あいつどこ行ったんだよい?」
「ほら、あの友達ん家だよ。ロジェちゃんだったか?今日ハロウィンだし、どうせなら楽しまねぇとな」
「道知ってんのか?」
「あ」
2010/10/31
保護者の心配を余所に、コトリはぴぽーんとチャイムを鳴らしていた。
コトリの頭上よりだいぶん上にあるチャイムのボタンだったが、ジャンプしたら届く。
お陰でぴんぽーんというのんびりした音が、ぴぽーんとどこか急いだ音になっていた。
さらに、落ち着きのないコトリだから数秒待って反応がなかったら、またぴぽーんとチャイムを鳴らす。
ぴぽぴぽぴぽ、と連続的なチャイムの音にしびれを切らした家主が怒鳴りながら出てくるまですぐだった。
「誰だウチのチャイムにイタズラしてる奴は!!!」
「にゃんっ!」
「……ね…いや、狼か?」
「あ!ちがった、わんっ!」
家主、スモーカーが玄関先で見たものは、ちみっこい猫だか犬だか狼がいた。(いや、たぶん狼だろうけど)
いたずらかと思って怒鳴ってやろうと思ったら、子供の口からよく知った名前が出てきた。
「えとなっ、ロジェ!ロジェいるかっ!!」
「ロジェ?あぁお前がロジェの友達の…」
「コトリだよっ!」
あの子供に酒を飲ませるような家の子か。
初めて見るロジェの友人を、スモーカーはじろっと見た。
強面のスモーカーに気後れすることなく、にこにこと見つめ返してくる。
なるほど、キモの据わった所は認めてやろう。
しかしなぜ奇天烈な格好をしているのだ、仮装ではあるまいし。
そういえば、ロジェがハロウィンがどーたらこーたら言っていたような気がしなくもない。
そうか、ハロウィンか。
「スモーカー、だれー?って、コトリちゃんだ!」
「わんっ!!」
「え、いぬ?おおかみじゃなくて?」
玄関先で長居し過ぎたのか、部屋で遊んでいたロジェが出てきた。
ぱっと笑顔を浮かべるあたり、それなりに仲がいいんだろう。
友達がいると言うのは、嘘ではなかったわけだ。
楽しそうにはしゃぐ子供二人をみて、ふと息をはく。
「まァとりあえず、あがれや」
2010/10/31
「じゃまをするっ!」
「コトリちゃん、じゃましちゃいやだよ」
「じゃましないっ!」
ロジェもおとなしい方ではないが、このコトリはものすごく騒がしい方らしい。
声がいちいち大きいし、態度もデカい。
まぁきちんと靴を揃えて上がる所だけは評価してもいいか。
スリッパを履かないのは、子供だから見逃してやる。
「あ、これサッチから!えーと、こないだはすまんかったって」
「こないだ?あァ、あの酒か」
「サッチはなー、しょーのないやつだからなー」
はい、と差し出されたのは菓子折りだった。
ロジェに酒を飲ませた件の詫びらしい。
名のある洋菓子店のそこそこ値の張る逸品だ。
くれるというのだから有難く貰っておこう。ただし、ロジェに見つかったら食べたいとうるさそうだから戸棚の手の届かない所に隠して…。
考え事をしている間にも、子供たちはきゃいきゃいどたばた走り回っている。
このままだと下の階から苦情がきかねないので、二人をつまみあげてロジェの部屋へ連れていった。
「茶ァ出してやるから、それまで大人しくしとけ」
「ぼく紅茶ね、ミルクたっぷりの!」
「へいへい。そっちのチビは」
「みず!」
「…茶でいいな」
「なんでもいいよ!」
最後にあんまり騒ぐなよ、と一言注意を促してから子供部屋を出た。
えらく変わった友人だが、高飛車で高慢ちきなロジェの相手が普通の子に務まるとも思えない。
どっちもどっちか、と思いキッチンへ向かった。
2011/10/31
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